素晴らしき放浪者の戯言

100年に1度の世界の大転換、50年に1度の日本の政権交代を見届けるブログです。 政治、経済、メディア、都市、映画etcの各分野を放浪しつつ 時たま核心に迫ります。

東北紀行 VOL .4

  

 

 
   〔ジャズ喫茶編〕

     一関に逗留したのは、有名なジャズ喫茶へ行くためであった。
     観光、自然を愛でるのとは別の趣きがこれらにはあるのだ。


     【RYOYCE】

     ROYCEと銘打たれているが、正確にはお店じゃない。
     酒屋さんが趣味で自分のオーデイオルーム開放してるといった方がよい。

    ROYCE 1

    ROYCE 2


     タンノイでJAZZ聞くというコンセプトは都内にもあるが、こちらの方が古いだろう。
     で~んとロイヤルウエストミンスターが両サイドの鎮座してその内側にレキュタンギュラ
     ーヨークが起立する。
     プリアンプはマランツ#7、これも都内の店と同じだ。

     ここで私は#7に関してやや意地悪な質問をする。
     「ECC83(=球の種類のこと)はテレフンケンですか?
     バンブルビー(=コンデンサーのこと)使ってますか?」
     「ええ、うちは全てテレフンケン、バンブルビーでもういつ壊れてもおかしくない状態な
     んですよ」

     全くオリジナルの状態の#7はなかなかないだろう。
     パワーアンプのメーカーは忘れたが、球はKT88。
     しかも茶ベースのKT88じゃないか~!
     茶ベースは初期型でネットで高額取引されている。
     玉(真空菅)は切れかけが一番いいというが、いつ壊れてもおかしくない状態の#7
     で聞くデイブ・ブルーベック、マイルス等は確かに素晴らしかったが、一番はカラヤン
     指揮のロンドン・フィルだった。

     「ベイシーへは行かないのですか?」
     「ええ、昨日行って、今日これからまた行きます」
     「一関だけでもベイシーと全く同じシステム組んでいる人が二人いる。ところが、これ
     が全然面白くないんだね。無味乾燥でさ~。それでも『いい音だろ?』って言うんだよ
     ね(苦笑い)」

     ベイシーはシステムだけでどうのこうの言ってもダメだと思う。よく指摘されるように蔵
     にシステム置いたからいいのだと思う。コンクリートと違って漆喰は音跳ね返すだけ
     じゃなくて少しは吸うと思う。
     2階は音抜けのため空けてあるというから独特の響きなんだよね。プロミュージシャン
     はいろんなところでやっているから響きには敏感だと思う。だから彼らは何度もライブ
     に来るのだ。
     いくら菅原さんに惹かれようとロクでもない音だったらこないもの。




     【 BASI E 】

     やってきました、ベイシー。
     高校の頃から名前と菅原さんは知っているのに出不精の私は50歳を過ぎて初めて行
     きました。

     ベイシー 1


     2日連続で行きましたが、ここはROYCEとは違い、昔ながらのジャズ喫茶、話してはい
     けませんモード、それでも2日目には「写真撮っていいですか」というはずだったのだ
     が、そう出来ずにビビってしまった。

     肝心の音の方ですが、これは素晴らしいとしか言いようがない。
     文句のつけようがない。初日は最後列で聞いたが、ここで聞くとややきつめBGM、2
     日目の真ん中あたりで聞くといわゆるジャズ喫茶の音。でも、これがそんじゅそこいら
     の音じゃない。レコードの再生音としてまろやかなのだが、同時の各楽器が生きてい
     る。音楽であるのと同時に楽器が立っている。


          ベイシー 3


     店内の野口久光氏の画集をぺらぺらめくっていると・・・・。
     (オイ、新参者、俺はドラマーなんだぜ、知っているか) ~ 以下、( )内は私の妄想 ~
     といわんばかりにロイ・ヘインズがかかる。
     こんなドラムは聞いたことがない。転がるピアノというはあるが太鼓が転がっている、歌
     っている。

     マスター、菅原正二氏は早大ハイソ(ハイソサエティーオーケストラ)が学生なのにはじ
     めてモントルー・ジャズフェスティバル行ってた時のドラマー兼バンマスだ。
     ハイソの隣の部室のモダンジャズ研でへなちょこトランペット吹いていたのがタモリさん
     だ。
     タモリさんが言われたという有名なフレーズ、
      「マイルスのパツラ(トランペット)は泣いているが、お前のパツラ(トランペット)は笑っ
      ている」
     は菅原さんがタモリさんに言ったセリフだ。
     「ヨルタモリ」のジャズ喫茶経営、吉原さんのモデルは菅原さんだ。
     文化系でもビッグバンドともなると1年違えば「王様」と「奴隷」。
     しかも、モントルーに出たバンマスとへなちょこトランペッターでは雲泥の差。
     そういうわけでタモリさんはどんなに有名になっても一生、菅原さんに頭が上がら
     ない。
     2006年のJBLの新作、DD66000の発表会にも菅原さんが講演する際、「そう
     いうわけだから森田、来てくれんね」とお願いのような先輩の命令によりタモリさん
     はノーギャラでゲスト出演した。

     JBLのみならずLINNの社長もイギリス(スコットランド)から感謝と視察でやってきた。
     LINNのLP12というプレイヤーがこんなに日本で売れるのは、菅原さんがベイシーで
     使っているからと言っても過言ではないだろう。

     ジャズミュージシャンももちろん多数やってきてLIVEやっただよね。
     Elvin Jones Jazz Machine with  Freddie Hubbard  
     なんて貼ってあった。
     エルビン・ジョーンズは来日する際、東京よりもまず、一関のベイシーでやったという
     からね。
     もちろん、カウントベイシーも何度か来ている。

     蔵を改造した壁には訪れた多くの著名人のサインが書かれていた。
     桃井かおりさんは81年と86年にやってきたんだ。
     榎木孝明さんとか高平哲郎さんとか、そうそう正蔵になる前のこぶ平にサインも
     あった。
     タモリさんは2012年、つまり震災後にも来ているだよね。
     店内にはこのポスターが貼ってあった。


         タモリ ジャズ


     2日目、女性店員は私は憶えていて「あら、また来たわね」という対応だった。
     前日、車の中に財布を忘れ大騒ぎしたから印象には残っていたのだろう。
     この日は、私がコルトレーンの中で2、3番目に好きな「クレッセント」をかけて
     くれた。ウチで聞いてもいいが、これはホント良かった。
     その前の店で長居してしまって山奥の宿の夕食の時間に帰らなくてはならない。
     あんまり時間がなくなってしまった。

     昨日の今日だから、さぞもう少し居ると店員は思ったのだろう、コーヒーを飲み干
     すと「(車だから)ジュースでも持ってきましょうか?」と尋ねたが、「すいません、
     宿に帰らないとまた怒られるので」と私が行った頃には次の曲が既にかかっていた。

     (おい!新参者!ベイシー来たんだからベイシー聞いて行きな)と言わんばかりに。
     「オーバーシーズ」で強圧的ともいえるエルビン・ジョーンズのドラムでトミー・フラナ
     ガンを前ノリでぐんぐんと引っ張っていくみたいに菅原さんは私の行動予定を見切っ
     た如くの前ノリでカウント・ベイシーをかけたような気がした。

                                         (了)







スポンサーサイト
観光・レジャー | コメント:0 |
| ホーム |