素晴らしき放浪者の戯言

100年に1度の世界の大転換、50年に1度の日本の政権交代を見届けるブログです。 政治、経済、メディア、都市、映画etcの各分野を放浪しつつ 時たま核心に迫ります。

コンプライアンスの時代に「 江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間 」を観る 前編

   



   「ええ、昨日も一昨日もお立ち見になりました。え、1時間前なら大丈夫ですかって?それ
  は保証できません。朝から整理券を配っています。」

   シネパトス閉館(リニューアルされる?)に伴い、あの石井輝男監督の「江戸川乱歩全集
  恐怖奇形人間」がレイトショー上映された。
   親友 I と出かけたのだが、1時間半前に行って正解だった。
   30分前にはご覧のように長蛇の列だった。

           シネパトス


   この映画はカルト中のカルトとして知られている。
   約30年前、大井武蔵野館で当時の親友Kと観た。(というより正確には映画がはねてから
  「お前も来ていたか」とお互い言い合ったのだった)
   石井輝男は石井聰互(改名後「岳龍」) 石井克人、石井隆とともに「キルビル」プレミアに
  招待された「4人の石井」の一人であります。タランティーノにすれば、東映エログロ路線の
  石井輝男に入れ込んだのだろうが、「網走番外地」に代表されるように石井監督は商品とし
  てのプログラムピクチャー、すなわちウェルメイドの作品を撮れるのです。鈴木清順だって、
  最初からあの調子だったわけでなくお仕着せのプログラムピクチャー撮り続けてからカブキ
  出したのです。このような事態が撮影所出身監督の頸木(くびき)にして底力の源泉だろう。
   
   初見の時はあまりに土方巽のインパクトが強過ぎてどうもストーリーが頭に入らなかった
  が、再見すると、成瀬の薫陶を受けたらしく確かにストーリーテリングはしっかりしている。
   人間の記憶はいい加減なもので終始、土方巽が躍っていたと記憶していたが、実際は2
  回だけでありました。I によればさすがに舞踏の開祖らしく土方巽の動きの一つ一つは
  実に練れていて計算されているそうだ。初見時は、特異な存在としての土方巽だったが、
  今回、土方の目力に圧倒された。あれだけ目むいてまばたきせずにキープし続けているの
  に何らガンバッている感がなくサラリとやってのけるのは並みの役者には出来ないことだ。
   オペラ歌手がアリアを歌い上げる時の腹筋、管楽器奏者がピアニッシモをキープし続け
  る時の肺活量のように役者の目力はホントは役者の基礎力なのではないかと思わされた。
   (昨今は、自然な演技、いや地のままと言ってもいいかもしれない演技ばかりもては
    やされて目力は軽んじられる傾向だ。) 

   ホール 映写室
          このロビー、映写室もこれが見おさめ。


   ご存知のようにこの映画は国内ではいまだDVD化されていない。
   エログロ表現はたいしたことなく、主たる理由は差別用語がビデ綸通らないからだと
  初見時一緒に観て現在映画界に席を置くKから聞かされた。
   この映画の差別用語とは「キチガイ」、「裏日本」、「カタワモノ」といったところ
  だろうか?
   でも、これら差別用語なくしてこの映画は成り立たない。
   奇形、負具者と差別された菰田丈五郎(土方巽)が復讐として人工的に奇形人間を
  作り出して健常者を奴隷としてこき使うという人工的反=楽園を築くことがまがいな
  りにも骨子なのだから。もっとも丈五郎が作り出した奇形人間は新東宝のDNAによ
  るものなのか石井本人の資質によるものか、あくまでもまがまがしくウソっぽい。
   これら奇形人間をリアルにつくっていたら、この映画はこれほどまでの支持を
  得ただろうか?

               (つづく)





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