素晴らしき放浪者の戯言

100年に1度の世界の大転換、50年に1度の日本の政権交代を見届けるブログです。 政治、経済、メディア、都市、映画etcの各分野を放浪しつつ 時たま核心に迫ります。

答え合わせ「 半島を出よ 」 VOL.3

   



   1国の経済崩壊と隣国との経済統合という視点に立つと、地球の反対側でも似たようなこ
  とが起こっている。アルゼンチンがデフォルトしてブラジルがBRICSに一角を占めるに
  至ったのも偶然ではないと思います。
   いずれ、アルゼンチンはブラジルに経済的に飲み込まれる運命じゃないかな。
   
   陰謀論否定派の村上 龍もさすがに朝鮮半島を巡る各国の思惑を知悉しているようで、
  ぼかしながらもはっきり述べていうる。もう一度引用しよう。

     この作戦が周到に仕組まれたものではないかと思った。  
     共和国だけの台本にしてはできすぎている。他の大国が台本作りに参加している
     ということではなく、黙認しようとしているのではないか。

                    ~ 前掲同書 p140 ~


    「答え合わせ」ばかりしていても能がないことから作者・村上 龍の願望まじりの近未来
   像についてみてみよう。
    高麗遠征軍、パク・ミョンが記者会見のために書き上げた基本計画書に表現されて
   いる。
    
      基本的合意事項は、高麗遠征軍と福岡は共存すること、共存のための細則は
      高麗遠征軍と福岡側代表の共同作業によって作成すること、最終的に高麗遠
      征軍と福岡は日本から独立すること、の三つだった。 

                        ~ p257 ~


    龍さんが高麗遠征軍の福岡侵攻を容認している?
    いや、そうじゃないです。
    次の1節で明らかになります。
      
      間違いないのは、東北出身の金融庁長官の森山一恵あたりから、九州円
      を発行すれば貿易によって福岡は豊かになるというような意見が出ると
      いうことだった。
                       ~ p323 ~
 


   龍さんは無能な政府、がんじがらめの官僚支配から福岡、九州が独立して欲しいと
  望んでいると思う。道州制推進者、 村上 龍というわけです。
   福岡くらいの規模の地方都市はみんなそう考えているでしょう。
   だから、地方分権でなく都市分権が本質だと思います。
   因みに九州円は「歌うクジラ」にも出てくるね。


   高麗遠征軍の福岡侵攻に対して無能な政府、無責任な官僚、思考停止なマスコミ
  に対して辛辣な描写はここにも出てくる。

     日本において最高の権力を握る人びとが、深夜の1時、内閣府の閉ざ
     された一室で全員一丸となって福岡の閉鎖に取り組んでいる。

                  (中略)

     この様子をビデオに撮って再生すると、みな必死で働いているように
     みえるだろう。確かにみな必死だし、非常にむずかしい複雑な指示を
     何十ヶ所にも発して、何万、何十万という人間たちを現実に動かし配
     備している。
     だが、外部の視点で眺めると、もっとも重要なことから逃げているよう
     に見える。考えたくないことを考えずに済ませるために、どんな小さ
     なミスも許さず封鎖を敢行するのだと自分を駆り立てているように見
     えてしまう。わかりきったことだが、最優先事項を決めなければいけ
     ないのだ。もう手遅れだが、東京の要所や要人を最優先にするくら
     いなら、最初から福岡ドームごと北朝鮮のテロリストを殺せばよかっ
     た。そうすれば軽輸送機など簡単に撃墜できた。もちろん内閣はつぶ
     れただろうが、問題はこれほど大きくならなかった。

                   ~ p290 ~


   何だか、今現実に起きている問題を想起させないだろうか?
   この小説の主な舞台である2011年に起こったある大災害(ということに 
  しておこう)に端を発するあのとんでもない事態を。
   もちろん、「3.11」⇒ 「福島原発事故」、そして現在、ダダ漏れ状態の
  放射能汚染水流失のことです。
   詳細は省くが最優先事項をことごとくと言っていいほど留保してきたからこそ
  今日のどうしようもない事態があるのではないか?
   東電に任せていたらどうしようもないといよいよ他の企業が汚染水処理に
  動くようだ。
   当事者たる東電もさることながら、汚染水を2011年に最初流した時点では
  大騒ぎしたのに今や「そのうちどうにかなるでしょ」と考えているかどうか知ら
  んが、国民の反応も事態の深刻さに比べて薄いように思う。
   この小説で最初に北朝鮮反乱特殊部隊に福岡ドームが占拠された時と似ている。

    だが、観客は状況にどう対応すればいいのかわからないようだ。
    武装した集団に対峙した経験を持つ人間はこの三万人の中に
    一人もいないだろう。

                ~ p171 ~

   
   日本国民、いや世界中でこれほどまでに大量の放射能汚染水ダダ漏れ状態は誰も
  経験したことがないのだ。先例踏襲の官僚、学会にがんじがらめの学者、思考停止
  のマスゴミには何にも対応できなのではないかと思うのは私だけか。
   当ブログは当時から土壌、農産物より海への流失がヤバイ、海産物の食物連鎖
  が怖いと指摘していたが、現実になりつつあるようだ。

                           (つづく)


半島を出よ
 図書館にいくとハングル版もある。
 龍さんは確か韓国で講演した際、
 「『限りなく透明に近いブルー』
  にすべてのエッセンスがある」
  と語っていた。
   







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