「 靖国 」 について 弐2014-02-06 Thu 11:11
小林よしのり氏は「 靖国論 」を上梓しており、首相は靖国神社へ行くべしと説いてきま した。今日、「靖国」を声高に叫ぶ若き自称保守の中にも彼に影響された人は少なくないだ ろう。そんな小林氏が週刊ポストに「脱・原発論 安倍首相は靖国に行くな」と提言して いる。 あれから10年近く、わしの靖国神社に対する信条は全く変わっていないが、 首相の靖国参拝については、もう新たな局面に入ったと思っている。 安倍は参拝すべきではなかったし、これからも参拝すべきではない。 我々、国民が静かに参拝を続ければよいのだ。 ~ 週刊ポスト 2・14号 ~ さて、どうしたことでしょう。 小林氏は転向したのか、いやそうではない。それでは2枚舌か?それも違う。 一見矛盾するようなこの言説は「内部」と「外部」を分けて考えないといけない。 「内部」的(≒ 国内的)には小林氏は今でも「靖国参拝」を重視している。 でも、「外部」的(≒ 対外的)には首相参拝は許されないとしている。 それらの結論として「我々、国民が静かに参拝を続ければよいのだ」という風に止揚して いる。 逆の立ち場からも似たような結論に至っている。 副島隆彦氏は首相が靖国参拝することに否定的だったが、最近はこう言っている。 1.安倍晋三の 靖国参拝は、正しい。あれでアメリカ政府の怒り( アメリカの 強い説得の制止を振り切って強行した)を買ったが、安倍晋三が、「首相とし て靖国に行かなければ、それが痛恨の極みだった」とまで当日、言ったのだから。 (中略) 2.「どうして靖国に参拝したらいけないのか」の疑問を多くの国民は抱いたままだ。 「なぜ戦争で死んだ軍人兵士をお参りしていけないのか」と、安倍を強固に支持 の3割の国民も、アメリカに対して疑問を抱いたままだ。だから感情、気分、 気持ち、民族ロマンティシズム、情緒としては、安倍首相の靖国参拝は正しい。 (中略) しかし、これらの情緒、感情、気分を土台とする日本国民の、反アメリカ、 反世界(=反白人文明)の理屈は、理屈=理論にならないものだ。世界で 通用する理論的(ロジカル)な、理論的(セオレティカル)なものではない。 だから、安倍晋三の靖国参拝は、世界基準(ワールド・ヴァリューズ、世界普 遍価値観)からは、許されないことであり、間違いである。そのことを、私、 副島隆彦がこれまでに論証して説明してきた。 ~ 副島隆彦の学問道場 「重たい掲示板」1525 ~ 「内部」的(≒ 国内的)いかに正当性があろうと、それを普遍的に正当化できるわけでは ない。「靖国」と声高に叫んでいる御仁は、大声張り上げていればいつか世界の果てまで日 本の正当性が届くとでも思っているのか?そうだとしたら全くもっておめでたいとしか言い ようがない。 「外部」的(≒ 対外的)に正当性を認めさせるには広義の「外交」を抜きでは語れない。 外交とはゲームなのであって主張が正しいか否かストレートに問うてもらちが明かない。 このあたりは後ほどもう一度述べるとして世界は安倍政権をどう見ているかについても週 刊ポストは記事にしている。 靖国参拝に関して日本を批判しているのは中韓だけだろうとタカをくくっている安倍政権関 係者に冷や水を浴びせかけるように。 本来、親日的であるはずの国々のメディアでも「日本の右傾化と軍国主義の 台頭」(フランス24)、「安倍は友人やオーストラリアのような同盟国が 尖閣問題で彼を支持しにくくなる状況を作っている」(オーストラリアの オーストラリアン紙)と安倍批判の嵐が吹き荒れている。 ~ 週刊ポスト 2・14号 ~ これだけならまだいいのだが、さらに衝撃的なのは対中国封じ込め外交の要といっていい タイやインドまでも手厳しい。 「(前略)世界第2位の経済大国という地位を失った日本はさらに減退する リスクがあり、アジアの巨大国家を軽視するのは日本だけだろう」 (タイのバンコク・ポスト) インドもまた、「中国、韓国との緊張関係を悪化させることで地域におけ る関係を弱体化するリスクを冒している」(インドのヒンドゥー紙)と 非難している。 ~ 引用 同上 ~ このあたりはベンさん曰くの「アジアで安倍政権をまともに相手にする国はもういない」に 照応する。そんなバカなと思われたとしたら、それは毎度おなじみのことだが、安倍政権に すり寄るしか能がない日本のマスゴミがこれらをきちんと報道しないからに他ならない。 ホント日本のマスゴミは2重、3重の犯罪者だ。 新聞読んでいないことからよく知らないが、肝心要のアメリカの対日政策についてはきち んと報道しているのだろうか?例えばこれだ。 米政府関係者は、安倍晋三首相が中国と韓国を怒らせた靖国神社参拝を繰り返さ ないことを確約するよう日本に求めており、日本政府がこれまでの第2次世界大 戦に関する公式の謝罪を確認することを検討するよう首相に要請すると述べている。 しかし、米政府が冷静さを求めてはいるものの、韓国と中国は23日、安倍首相の 靖国参拝に関する新たな発言に再び強く反発しており、米国による外交的な努力 の難しさが示された格好だ。 米政府関係者は、安倍首相が同首相の政策アジェンダに疑念を抱いている近隣諸 国を刺激するような新たな発言や行動を控えることを確約するよう日本側に求め ている。日米の一連の外交会合で伝えたという。 ~ WSJ 日本版 ~ 「靖国神社参拝を繰り返さないことを確約せよ」とは穏やかではない、かなり踏み込んだ 要求だ。 なぜかくも世界中で安倍政権批判が沸き起こっているのか、週刊ポストは中国の巧みな 国際宣伝を取り上げている。 「中国は、反日国際世論を形成するため、世界各国で、駐在大使や総領事 が日本批判の記事を現地の主要紙に寄稿し、海外メディアもその論調に 引きづられ始めている」(外務省関係者) ~ 週刊ポスト 2.14号 ~ ドイツ、アイルランド、イスラエル、さらにバヌアツ、サモアといった国にまで中国が宣伝 工作している様を同紙は伝え、中国の主張が新聞などに掲載された国は50ヶ国以上に達 しているという。 これらは「中国の三戦」のうち輿論戦(よろん)の一つであり、残念ながら日本よりも中国 の方が自家薬籠中のものとしている。 世界50ヶ国以上に自国の主張を掲載させることに成功した国と片や「靖国!靖国!」と声 高に叫ぶだけの国、遺憾ながら勝負あったというしかあるまい。 情報(インテリジェンス)よりも作戦重視は旧日本軍の宿痾(しゅくあ)と言われるが、戦前 はいくら何でももう少し宣伝工作が巧みだった。 日本はこの分野でも劣化しているのではないだろうか? 自称保守にはこれらの事実を噛みしめてもらいたいものです。 (つづく) スポンサーサイト
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