素晴らしき放浪者の戯言

100年に1度の世界の大転換、50年に1度の日本の政権交代を見届けるブログです。 政治、経済、メディア、都市、映画etcの各分野を放浪しつつ 時たま核心に迫ります。

「 靖国 」 について 四

   



   天皇と国民の関係も戦前は現在と異なっていた。
   戦前だったら地域共同体(町・村)があってその上に「天皇」が存在した。
   今やこれら共同体は名称だけは残っているが実態は全くと言っていいほど別物だ。
   これらの事情はネトウヨあたりに一番端的に表れているのであって、小林氏は
  「パトリ(愛郷心)なきナショナリズム」と呼称している。
   愛郷心がなくなったというが、地方分権とか叫ばれているくらいだから、一時より
  は愛郷心は復活していると思う。
   共同体から分断された砂つぶのような個人とは私もよく似たフレーズを使うのだ
  が、愛郷心の対象たる共同体というより中間組織(会社、地域等)ではないかと思う。
   これらはアメリカも同様なのであってかの国の場合、教会がこれに加わるかもし
  れない。
   それはたまたまそうなったのではなくて、「社会工学」(Social engineering )に
  よって遂行されたアジェンダだと考える。(今回はこの件については省略します。)

  
   彼ら自称保守が「靖国」を声高に叫び、安倍首相が国際社会の反対を振り切って靖国神
  社に行けば行くほど天皇の靖国参拝は遠のいていく。これを小林氏は「天皇なきナショナ
  リズム」と言っている。
   私としては「靖国」に関して実にシンプルであります。

    「昭和天皇が、天皇陛下が行くことをよしとしない神社には私は行きません。
  
     私は陛下と行動を共にします。」

   これでお終いです。
   これについて自称保守は何ら反論できない。
   同様なことを副島隆彦氏はさらに激烈な表現で述べている。

    もし、君が、本当に、愛国者であり、右翼であり、民族主義者であるならば、
    この昭和天皇の おおみこころ に従え。 天皇のご遺志に逆らうな。 いいか。

             ~ 副島隆彦の学問道場 重たい掲示版 1368 ~


   もっとも副島氏は「外部」的(≒対外的)視点も忘れていない。

   
    いいですか。1978年に、昭和天皇(裕仁=ひろひと=天皇)は、「私は、靖国
    神社に参拝するのは今年からやめる」と決心したのだ。それは、東条英機大将
    (首相)以下の、自分の部下(臣下)だった戦争犯罪者と極東軍事裁判で認定され
    た者たちが、この、1978年から、靖国神社に合祀(ごうし)されたからだ。

    昭和天皇は、「世界の大勢に逆らわない」ということを、自分の敗戦後の出発点に
    した人だ。それでアメリカが押しつけて下げ渡した、現行日本国憲法(別名、平和
    憲法)に従い、主権者(ソブリン)の地位を去り、自ら座敷牢(ざしきろう)に
    入った。

              (中略)
         
    昭和天皇にしてみれば、自分に忠実な臣下であった者たちではあるが、それでも、
    戦争遂行政府を指導したこの者たちは、「世界を知らなかった」のである。それで、
    「アメリカに大きく騙された。お前たちは知恵が足りなかった。知識と情報と学問
    が足りなかったから、騙された」のである。「そして、そのために自分と日本国民
    に大変な迷惑をかけた」のだ。 

    昭和天皇は、東条らに、そのことの責任を言いたかったのだと、私、副島隆彦は、
    日本の政治思想家として判断します。だから天皇は、「私は、もう靖国にはゆか
    ない」と決断した。

    東条ら14柱の戦争最高指導者たちの御霊(みたま)で自分の臣下だった者たちを、
    天皇は祀(まつ)ることを拒否したのである。 悲しく死んでいった他の英霊たち
    を祀ることには異存はない。 だから東条らの合祀(ごうし)は間違いであった。
    昭和天皇は、そのように一人で決断して、ひとりで抗議して、以後、靖国には参拝
    しないストライキを決行したのだ。

    もし、君が、本当に、愛国者であり、右翼であり、民族主義者であるならば、この
    昭和天皇のおおみこころ に従え。 天皇のご遺志に逆らうな。 いいか。

    その御遺志とは、「世界の大勢に逆らうな」 ということだ。世界の大きな流れを
    読めない、深く考えて動けないような者なら愚か者だ。まんまと騙されて、またし
    もても戦争をさせられるように仕組まれる。日本の国家戦略家(ナショナル・スト
    ラテジスト)を自称して恥じない私は、いつもこのことを、自分への自戒として生
    きている。

    東条英機首相たちは、極東軍事裁判(東京裁判)に掛けられて、有罪判決を受けて、
    そして絞首刑になった。このとき、国際社会(世界の大勢)が、この者たちは有罪
    だと決断したのだ。有罪を言い渡された者たちも静かにこれを受け入れている。
    控訴した者はいないはずだ。

    だから、昭和天皇は、日本国の戦争犯罪を認めて、「自分たちは間違っていた。
    周囲を冷静に見る目を失って、世界を相手に無謀な戦争などするものではなかった」
    と反省したのである。
    だから、日本国と自分の責任を自覚して受け容れたのだから、だから、彼ら戦争犯罪者
    (ウォー・クリミナル)たちを、いかに「戦勝国側による勝手な裁判だ」と言っても、
    国際社会に向かって称揚するわけにはいかない。

    だから、国際社会(世界)の何たるかを知っている昭和天皇は、東条英機大将ら、
    自分の部下だった者たちを、戦没者慰霊碑(どこの国にもある、国家の鎮魂の公式の
    場所だ。より正しくは、世界基準では「無名戦士の墓」だ) に入れることを是認しな
    かったのである。
    この判断は、日本国内での好き嫌いの議論の問題ではない。世界が許すかどうかの
    問題だ。
       
                          ~ 引用 同上 ~
      
    
       
   なぜ、昭和天皇が東郷らを祀るようになってから靖国神社に行かなくなったのか?
   これに関しては別の見方も挙げられている。
   昭和天皇が東郷らを許せなかったから靖国神社を参拝しなくなったというものだ。
   A級戦犯だからか、いや違う。歴史通には有名なことらしいが、いわゆる「御前会議」に列
  席していたのは、昭和天皇ではなく影武者で昭和天皇ご自身は軟禁されていたということ
  だ。
   それなら東郷らを許せなくても当然だ。
   さらに世界支配層に昭和天皇が「靖国に行くな」と言われたという見方もあるらしい。
   これは副島氏曰くの「国際社会(世界)の何たるかを知っている昭和天皇」、「世界の大勢
  に逆らうな」と同義だろう。
   いずれにせよ、私の場合はシンプル。
   「天皇陛下と行動を共にします。」
   これでお終い。


   さて、小林氏の言説に戻ると、彼が言いたいことは「靖国だけが愛国ではない」ということ
  と本物の保守、右翼がいなくなったということに尽きるのではないか。

    おそらく、安倍を支持する自称保守派たちは、知らないだろう。
    かつて日本のために戦い命を落としたが、靖国には祀られていない
    「愛国者」が数多くいるということを。

                   ~ 週刊ポスト 2・14 ~


   小林氏は西郷隆盛や頭山 満(とうやまみつる)、さらに彼が率いた玄洋社の人々を引き
  合いにして「大アジア主義」の何たるかを説いている。西郷隆盛も来島恒喜(くるしまつね
 き)も立派な愛国者で国のために死んだが、政府に背いたため靖国に祀られていないではな
  いかと問題提起している。この記事はこんな一文で結ばれている。

    靖国神社だけがナショナリズムの唯一の拠り所ではない。
    我々はいま、靖国参拝絶対主義から解き放たれるべきなのだ。

                  ~ 引用 同上 ~


   小林よしのりで靖国に目覚めた、若しくは彼に影響された若き自称保守よ、この一文は小
  林氏から君たちへの「三下半」(絶縁状)だ!

   真っ当の大人が考えればこういう結論になるだろう。
   自称保守、ネトウヨがそうはならないのは、やはり共同体から切り離された砂つぶのよう
  な個の集まりであるからだろう。
 
   自称保守は「靖国」を唱え、何かといえば「自虐史観」だと言い、自民党版「憲法改正案」
  に賛同し、何が何でも原発維持を叫び、新自由主義(TPP、道州制)しか日本の再生はな
  とトンマなことを言う。
   これらのどれか一つにでも異を唱えようものなら、「お前はサヨクだ」としか言えない。
   阿呆かと言いたい。
   今回の選挙は残念な結果となったが、自称保守の阿呆さ加減が浮き彫りになったと思う。

   最後に若き自称保守に言いたい。
   フジテレビの看板ドラマ枠「月9」が間もなく役目を終えようとしている。
   それに呼応するが如く、自称保守ももう終わる運命だと私は考える。
   その時、“ 懐剣 ”だった「靖国」は彼らの喉元に突きつけられた “ 匕首 ”(あいくち)とな
  るだろう。

   誰でも若気の至りはあるものだ。

   真っ当な保守になったらいい。

                   (了)



大東亜論
玄洋社の海外工作部隊として活動した「黒龍会」
は海外名、BDS(Black Dragon Society)として
恐れられた。戦後、解体させられたが、近年
「黒龍会」として復活した。




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コメント

靖国神社の件で、モヤモヤしていたことが、スッキリしました。天皇の言葉は知りませんでした。朝日新聞の天声人語で、戊辰戦争の戦没者を祀るための軍人神社だと
書かれてましたが、それを戦没者全体にしたのは戦前の全体主義の流れだったのでしょう。
小林さんも困ったものです。
2014-02-14 Fri 15:46 | URL | やまおか [ 編集 ]
やまおか様

コメントありがとうございます。
あなたのような方がもっと増えるようにと切に願っています。
「ネットdes新党」天木直人さんの見解も秀逸です。
参考になさって頂ければ幸いです。
http://blog.goo.ne.jp/fuwa_toshiharu/e/dee12c3ff0eee266e3da98a2b214fd6f


> 靖国神社の件で、モヤモヤしていたことが、スッキリしました。天皇の言葉は知りませんでした。朝日新聞の天声人語で、戊辰戦争の戦没者を祀るための軍人神社だと
> 書かれてましたが、それを戦没者全体にしたのは戦前の全体主義の流れだったのでしょう。
> 小林さんも困ったものです。
2014-02-14 Fri 23:28 | URL | ジィジーラ [ 編集 ]

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