素晴らしき放浪者の戯言

100年に1度の世界の大転換、50年に1度の日本の政権交代を見届けるブログです。 政治、経済、メディア、都市、映画etcの各分野を放浪しつつ 時たま核心に迫ります。

その先の「町づくり」へ VOL.3

   



   商店街活性化の柱として久繁氏はイベント事業、空き店舗対策事業を挙げている。
   イベント事業が“ 瞬間風速 ”に終わってしまうことには頁を割かなくてもいいだろう。
   (最近はそれなりに実を結ぶイベント事業も増えているが)
   空き店舗対策については出雲市の空き店舗対策として企画されたチャレンジショップ「ゆ
  めショップ」の惨状を指摘しつつリスクの高い空き店舗への出店は「曜日毎テナント」、
  「週末起業」から始めるのがいいのではないかと提案している。現状、この提案に自治体は
  難色を示している。曰く「曜日毎、あるいは一日毎募集・賃貸は管理が大変だ。週6日は
  開店してくれないと困る。」

   久繁氏は「曜日毎テナント、日替わりテナント」の導入事例を示しながら、自治体のご都合
  主義を批判する。さらに商店街再生のため4つの提案をしている。

    ① 車優先空間から「人間優先空間」への転換

    ② 出店者一人にリスクを押しつけず、市民が安心・提携して出店できる仕組みを創る。

    ③ 店舗個別の穴埋めをする発想をあらため地域一帯の魅力を創造することを考える。

    ④ 商店街の位置づけを「物を売る(買う)場」から「交流・憩いの場」へ変える。

                           ~ 久繁哲之介 著 「地域再生の罠」~

 
   特にに① については松江市の天神町商店街を例示しながら自動車の抜け道、すなわち
  車優先の空間がさらに空き店舗を増やすと述べている。

   銀座の並木通りのうち晴海通りから新橋への通り、要するに世間一般が「銀座」と思って
  いるあの一帯、あそこのように表通り1本裏通りは車が少なく、人が歩いて両面の店舗を
  回遊できる。こういう通りこそ商店街として理想的なのです。


   さらに商店街のみならずこう結論づけている。

    岐阜市は、「市民の生活」よりも「車の円滑な交通」を優先している。
    第2章の松江市で見たように、人よりも「自動車が優先される都市」は必ず
    衰退へ向かうのである。

                      ~ 引用 同上 p135 ~
 

   地元も同様で県道沿い、すなわち大きな道路沿いの、自動車優先の従来型商店が貼りつ
  いている近隣商業地域はどこも厳しい。ロードサイド型店舗に生まれ変われればいいが、
  ロードサイド型店舗は大きな駐車場を必要とすることから有効利用率から算定される収益
  から逆算すれば、土地価格の安い地域、もしくは低利用率を凌駕るくらい集客が見込まな
  い限りロードサイド型への転換は困難だ。
   それでも歩道がしっかり整備され、背後に区画整然とした住宅地と系統連続性に優れる
  道路が県道に交差するように配置されていればどうにかなるかもしれないが、歩道すら整
  備されていない地域は衰退へ向かうのが必定だ。

   車優先というとJR千葉駅前も大通りで分断されて人に優しくない。
   いや、一般車両にすらあの駅前ロータリーは優しくない。バスやタクシーのためにある
  ような駅前ロータリーだとさえ言える。さらに言うと駅前開発そのものが千葉そごうへの
  一極集中のための開発だといっても過言であるまい。「コンパクトシティー」とは別の意
  味でバブル期における一極集中だ。確かに街区はきれいになったが、あれ以降「富士見」
  あたりの衰退が顕著になった。今や空地にビルを建ててもテナントが埋まらないのが見え
  ていることから時間貸駐車場にしておくしかない状況だね。
   久繁氏の指摘は正鵠を射ている。

  
   さて、本書に取り上げられている富山市、岐阜市、長野市、松江市、福島市は中心市街
  地活性化計画の認定を受けている。さらに宇都宮は構造改革特区の認定を受けている。
   まことに結構なことではないかと自称保守は言いそうだが、そうでもないことはこれま
  での記事をお読みならぼんやりとおわかりだろう。
   これら中心市街地活性化計画に指定された都市は「成功事例」ではなく、むしろ事態は
  逆だったりするからだ。
   構造改革特区というと東京都で懸念されているブラック特区が思い浮かぶが、ますます
  地域版「新自由主義」が「競争教」に脳をやられた人々によって推進されるということです。
   正確には従来型思考の自治体と「競争教」が手を結ぶという何とも珍妙な事態が起こる
  だろう。ここでいう従来型自治体とはもちろん否定的ニュアンスで言っているのであって、
  「成功事例」を盲目的に模倣して失敗している自治体のことであります。
   詳しくは久繁さんに語ってもらいましょう。


    衰退する他自治体に特徴的なのが、受動的な情報対応である。そうした自治体では、
    国や専門家など「上流から降りてくる情報」のみ収集しがちだ。なぜなら、管理
    の煩わしさを忌避する自治体にとって、上から降りてくる事業計画に従っていれば、
    面倒を回避するとができるからだ。何せ「この金を使え」「あの成功事例を模倣しろ」
    などと上から目線で懇切丁寧のお膳立てまでしてくれる。

              (中略)

    こういう情報に依存することの弊害はたくさんある。まず、「上から目線」を当然
    と思い込み、市民目線から地域を見られなくなる。次に「勉強しない、何も考えない」
    という組織風土が自治体の中でつくられてしまう。

              (中略)

    地域再生という川の流れのなかでは、上流工程にいるのは土建工学者であり、中流
    工程には地方自治体がある。土建工学者は、成功事例を探して次々と推奨し、地方自
    治体は前例踏襲や権威ばかりを重んじる。両者は相思相愛の関係にあるのである。
    皮肉ななことに、活性化に成功している地域の多くは、上流からの関与がほとんど
    ない。市長の主導によって躍進をつづける武雄市はその好例である。また、東京
    秋葉原は、上流だけでなく中流の自治体もほとんど関与していない。秋葉原の賑わ
    いは、最も川下にいる「テナントと消費者」が創りあげたものであり、さらに進化
    させている。

                        ~ p128-129 ~

      

   活性化に成功している地域の多くは、上流からの関与がほとんどない。
   
   これは重要な指摘だと思う。

                    (つづく)




地域再生の罠
この本は当ブログの最近3ヶ月に
貼られた画像の中に出てきます。
どれかわかればあなたは杉下右京
並みの観察眼と記憶力の持ち主
です。  


 



 
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