素晴らしき放浪者の戯言

100年に1度の世界の大転換、50年に1度の日本の政権交代を見届けるブログです。 政治、経済、メディア、都市、映画etcの各分野を放浪しつつ 時たま核心に迫ります。

そろそろ政治家も 「 大きな物語 」 を語ったらいかがか (さらばグローバリズム)

   



   私は水野和夫氏を単なるエコノミストではなく、歴史観や文明論をも視野に入れた論客だ
  と尊敬しております。そんな水野氏が新著「資本主義の終焉と歴史の危機」の出版に際し
  てインタビューに答えている。
   
    投下した資本が自己増殖していくのが資本主義のメカニズムですが、いまや資本
    を投下しても利潤を生みださない時代、資本主義の死期に突入してます。
    なかでも日本は最終局面を迎えています。なぜなら、利潤率とほぼ一致する10年
    国債の利回りがほぼゼロ。
    ゼロ金利が20年近く続くのは世界史上初のことです。(後略)

                             ~ 日刊ゲンダイ 4月18日 ~


   そうは言っても多少なりとも日本のGDPは増えているではないか?
   
    株価が上がったという事実だけで、アベノミクスが成功していると考えるのは誤り
    です。実体経済では需要がなくなり利潤が出ない状況なのに、無理やり株価だけ
    吊り上げている。(後略)
                         ~ 引用 同上 以下同様 ~


   
   成長できない、新興市場=需要が見つからない、地理的フロンティアはもう残っていない
  と水野氏は述べる。需要は見つからないは少し異議を申し上げたいがひとまず留保すると
  して、中国やインドの新興市場を水野氏はどう捉えているのか、彼の発言に耳を傾けよう。
 
    市場は新興国が先進国並みに豊かになることを期待していますが、無理です。
    新興国の人々が先進諸国並みに自動車を所有し、電気冷蔵庫を購入し、鉄を
    消費するには莫大なエネルギーが必要となる。10ヶ国程度の新興国が先進
    国並みにエネルギーを消費するだけで現在の発電量を2倍にする必要がある
    のです。
  

   どうやら水野氏は約40年前、英米の国債の利回りが下がり始めたあたりから「資本主義
  の終わりの始まり」を感じていたようだ。70年代に「成長の限界」を感じ始め、エネルギー
  が足りないというと・・・・・、何かひっかかりますね。
   まあいいや、フロンティアがなくなりアメリカが金融資本主義にシフトしたのだが、
  リーマンショックでどうにもならなくなったのかと問われて彼は答える。 

    そのとおりです。米国は資本主義がこうやって終焉を迎えつつあるのを
    はっきり認識して確信犯として行動しています。


   アメリカ資本主義の終焉は、現実問題としてはFRBの株主の代理人たる政治家からなる
  株式会社アメリカの崩壊、アメリカ共和国への回帰へとつながるのだと思う。
   今年になってこの動きは加速している。
   
   グローバル化で企業の業績が上向くことによってもたらされるトリクルダウンについても
  水野氏はあっさり否定している。
    
    グローバル化を唱える新自由主義とは、政府よりも市場の方が正しい資本配分 
    ができるという考え方です。資本配分を市場に任せれば、労働分配率を下げ、
    資本側の利益を増やします。ですから、富むものがより富み、貧者はますます
    貧しくなる、格差が広がっていくと、民主主義の土台が腐っていくというマイ
    ナスもあります。こんな資本主義なら早く死期を迎えてもらったほうがいい。
    そのためにも次のシステムを用意しておかないといけない。


   新自由主義のいきつく先としては、先日、NHK「クローズアップ現代」でも取り上げられて
  いたサンディスプリング市に見ることが出来るだろう。
   これについてはネット賢人、及び堤 未果女史の著作にふれている人には既知のことだ
  が、NHKのゴールデンタイムで取り上げられたことはたいへん意義深い。
   この番組を見れば道州制の推進者たる地域財界、青年会議所のメンバーも「あれ?」と少
  し気づき始めただろうか?それは希望的観測というものであって、道州制は新自由主義の
  地域版であって、「グローカル」という言葉に象徴されるようにグローバリズムと直結するの
  だということを彼らがわかるのは地域が“ 焼け野原 ”になってからじゃないのか?
   「だいたい、そんなの悲観的すぎるよ、おらが町が勝ち抜けばいいんだ」と道州制推進者
  の政治家たちは吼えるかもしれない。
   でも、世界の大きな潮流は止められないのです。   
   資本主義はどういうかたちで終わるのかと問われて水野氏は「次の時代の到来」を予見さ
  せる。
   
    (前略)(資本主義の崩壊は)中国のバブル崩壊というハードランディングに
    なるのではないでしょうか。
    その後、世界はグローバル化ではなく、保護主義的にブロック経済化していく
    と思います。   
                    ~ ( )内加筆 ~

  
   グローバル化ではなく保護主義的ブロック経済とは経済史的いえば、大恐慌後の世界と
  いうことになります。この点、水野氏は明言していない。
   そうすれば「グローカル」ではなくなり、東アジア程度のスケールの問題となります。 
   この時TPPが邪魔ですね、それとも東アジアではなく環太平洋でブロック化?
   水野氏の考えるブロックはやはり東アジアぐらいのスケールのようです。
   日本がブロック化を生き抜く術として中韓関係を大事にすることが肝要と述べている。


   水野氏はかつて「68年、『 パリ五月革命 』 で『 大きな物語 』は終わっている」
  と語っていた。さすがにことここに到っては宗旨替えして、今、再び「大きな物語」の時、
  大きな時代の転換期と現代を捉えているようだ。
   その点に関しては「100年に1度の大転換」を謳う当ブログとしては大いに共感し
  ます。(もっとも水野氏は400年~500年の大転換期と捉えているようだが)

   でも、やはり水野氏はローマクラブ「成長の限界」そのものではなくても、そこから派
  生する「成長の限界」思考に縛られている。中国、インドの新興国が先進国並みに経済
  成長すれば発電量が2倍必要となるから現実的に無理と結論づけていることは既存のエネ
  ルギーの枠から一歩も踏み出せない思考の表れといえよう。
   「放射能は消せない」と誰もが思いこんでいたのに先日、三菱重工が元素転換によって
  「放射能は消せる」ことを発表した。原理的には通じる常温核融合も我々の予想より早く
  実用化されるという情報もあります。

   成長に限界はないのです。

   需要だって封印された科学技術6000のうち500~1000でも封印を解けば幾ら
  でも需要はあります。

   今の政治家にこれらを理解して旗振ってくださいと言っても到底無理な相談だろう。
   何せ新自由主義、グローバリズム、競争教に脳をやられているのだから。

   それでも政治家には勇気をふるって「さらばグローバリズム」と言ってもらいたい
   ものです。


   村上 龍氏曰くのように経済的「近代化」を達成した国に明確な国家的目標などそもそも
  存在しないのだと思います。特に日本のように世界でもっとも成功した社会主義もどきの戦
  後経済成長を遂げ、格差を最小化した「1億総中流」を実現した国はなおさらのことです。
   「ふるさと創生」、「美しい日本」、「とてつもない日本」とか言うのが関の山でしょう。
   
   でも、グローバリズムからブロック化への転換は、一過性のものではなくやがてEUのア
  ジア版をもたらすでしょう。

   政治家には道州制などではなくて、そろそろ本気で「大きな物語」を語ってもらいたいも
  のです。 







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