素晴らしき放浪者の戯言

100年に1度の世界の大転換、50年に1度の日本の政権交代を見届けるブログです。 政治、経済、メディア、都市、映画etcの各分野を放浪しつつ 時たま核心に迫ります。

鼻血だけの問題じゃないけど・・・確率の問題ではある。

     



     漫画「美味しんぼ」の鼻血バッシング、いろいろ言われていますね。
    
      「低線量被ばくの放射線量でも子供は鼻血が出る」

      「福島の子供の鼻血は放射線によるものだ」

     この二つの命題は似ているようで実は別物です。
     まあ~、結論を急ぐ前に後段の命題について専門家の見解を。
     40年間放射線治療に携わり約3万人のガン患者を診てきた国立病院機構北海道
    がんセンターの西尾正道名誉院長は明言する。

      「鼻血は鼻の局所にベラボーに放射性物質が当たったから。
       放射線に由来する。」
                           ~ 日刊ゲンダイ 5月26日 ~
     

     ICRP(国際放射線防護委員会)はそもそも原子力政策を推進するNPOであり、急性
    被ばくに見られる鼻血や歯茎からの出血などと低線量被ばくの症状を混同しているとし
    たうえで、
    
       「事故で放出されたセシウムが、ちりなどに付着して人体に吸い込まれた際、
        鼻などの粘膜に付いて局所的に放射線を出すことになる。準内部被ばく的
        な被ばくとなる。」と、独自の見方を示した。
                                   ~ 引用 同上 ~

    
     この言説は菅官房長官や石原環境相が「風評(被害)」と片づけたこと、すなわち「低
    線量被ばくの放射線量で鼻血が出ることはない」を真っ向から否定するものであり
    ます。
     でも、「低線量被ばくで(必ず)鼻血が出る」とは言っていないのです。
     この違いは重要だ。
     そもそも「低線量被ばくの放射線量で鼻血が出ることはない」は、一見、強い言説の
    ようで実は脆弱なのです。なぜかというと、これは全称命題であって、究極的には一人
    でも低線量被ばくと鼻血の因果関係が認められれば全体が脆くも崩れ去るのです。
     「絶対に〇〇である」とか「ーーー はあり得ない」とか簡単に言いますが、そう言えば
    言うほど当人の薄っぺらさ加減が露わになります。所詮、確率の問題、たいがいのもの
    は相対的なものでしかありません。

     鼻血ではないけれど身近な例を挙げると、我が家は野良猫が住み着いて庭先で子猫
    を生み落とされる。累計数10匹生まれてきた。
     「3.11」の後、2011年の5月か6月、例によって子猫が2匹生まれた。
     1匹は尻尾が真ん中ではなく右の尻あたりについていてねじ巻いていた。
     背中から腰あたりも曲がっているようですこしびっこ引いていた。
     要するに奇形だったのだ。もう1匹は外見上は何ら異常は認められず普通だった。
     福島ではなく千葉だが、梅雨前で天然の除染が行われる前の庭はセシウムまみれ
    だったろう。もっとも感度が高いだろう子猫(胎児)でも、放射線による奇形の確率は
    50%ということになる。50%の場合、どう考えたらいいのか?
     「低線量被ばくで赤ちゃん猫は奇形になります」、それとも「奇形にはなりません」か。
     どちらとも言えないわけだ。(因みにその後生まれた子猫は1匹も奇形はいない)

     また別の一例を挙げよう。因果関係が疫学的(科学的)に認められている喫煙と
    肺がんについてであります。私の目の前のタバコにはこう注意書きされている。

       喫煙は、あなたにとって肺がんの原因の一つとなります。
       疫学的推計によると、喫煙者は肺がんにより死亡する
       危険性が非喫煙者に比べ約2倍から4倍高くなります。
     
     私の叔父は非喫煙者だったが、肺がんで死んだ。
     副流煙?喫煙者だって副流煙吸わないか?喫煙者はタバコの煙と副流煙の両方
    を吸っていないか?それに喫煙者でも肺ガンにならずに人生終える人はなんぼで
    もいる。(肺気腫は程度の差こそあれ多くの喫煙者がなるだろう)
     結局、タバコは肺ガンの主たる因子の一つに過ぎず、確率の問題。

     低線量被ばくによる鼻血についても同様のことがいえるはずだ。
     確率の問題なのだが、データがないため「2倍から4倍」とか言えないだけ。
     そんなことを漠然と考えていたら例によって武田邦彦教授が「ズバッ」と言ってくれた。

      鼻血の問題は小さいようで原発と健康の本質をついている。
      それにしても「有識者、指導者」、「情報発信の人」と呼ばれる人の言動を見ると、
      本当に日本という国は「野蛮国」ではないかと心配になってくる。

      低線量被曝で病気になるかどうかは、「確定的」ではなく、「確率的」であることが
      知られていて、それを前提に私たちは放射性物質を扱ったり、治療を受けたり、
      原発を運転したりしている。

      「確定的」というのは「火の中に手を入れると火傷をする」というようなもので、
      「ほとんどの人がある条件になると発病する」という場合で、「確率的」というのは
      弱い打撃を10万人の人が受けるとどのぐらいの人が病気になるかというもので、
      1年1ミリシーベルトの場合、10万人あたり6.6人が「致命的発がん、重篤な
      遺伝性疾患」になるとされている(国立がんセンター見解)。

            (中略)
       
      低線量被曝で鼻血がでる線量はハッキリしないが、“1年1ミリシーベルト並み”
      とすると、鼻血が出た人はそれほど多くない。たとえば重篤な病気より10倍
      から100倍多いとしても、10万人あたり60人から600人ぐらいだから、その
      他の99940人から99400人は鼻血を出していない。

      つまり1660人から166人に一人が鼻血がでたということになるので、「俺は
      出なかった」とか、「100人の記者を調べたら、だれも出たと言わなかった」など
      と言っても、それは何の意味も無い。(後略)
  
                    ~ 武田邦彦 マスコミが伝えない事実と解説 ~



     低線量被ばくしたからといってガンになるとは限らない。
     (問題なのは子供の甲状腺ガンだろう)
     また必ず鼻血出すわけでもない。

     鼻血が呼び起こすことは何だろうか?
     データ不足による漠然とした不安、それによって引き起こされる風評被害か?  
     それらもあるだろうが、風評被害ならぬ風化阻止じゃないか。

     福島原発事故の影響を忘れちゃいかんということではないか?  


 
        
     PS.ある医者によると、タバコを吸わなくても1500人に1人、肺ガンになるそうだ。
        喫煙者は500人に1人になる。つまり、肺ガンになる確率が3倍となるのだ。
        タバコに書かれた注意書は肺ガンになる確率が2~4倍になるとなっている。
        3倍というとこの中庸値、ほぼ妥当なところだろう。これを鼻血に当てはめると
         武田教授の仮説の最も低い確率(1660人に1人鼻血)の場合、非喫煙者の
        肺ガン同様、あまり関係ないということになる。最も高い確率(166人に1人)
        だと喫煙者の肺ガンより相関関係が高いということになる。最も高い確率と
        最も低い確率の中庸値未満、500~600人に1人でも喫煙者と肺ガン程度
        の相関関係があるということになる。すなわち、喫煙者と肺ガンの因果関係
        と認めておきながら、「低線量被爆の放射線で鼻血が出ることはあり得ない」
        とは断じて言えないのであります。

         





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