素晴らしき放浪者の戯言

100年に1度の世界の大転換、50年に1度の日本の政権交代を見届けるブログです。 政治、経済、メディア、都市、映画etcの各分野を放浪しつつ 時たま核心に迫ります。

電気の祭典 VOL.4




     それではこの場で一から鐘の音を冨田・松武の両氏によってタンスでつくってもらいま
    しょうということになった。
     「うまくいくかどうかわかりませんが」とか松武は苦笑いしていたが、あれよあれと言う
    まに鐘の音が出来あがりそうです。

     冨田2
           音づくりする冨田氏、松武氏  - 撮影 I ―

     アナログシンセサイザーで音を作っていくことは倍音をどうブレンドしていくかという
    ことです。
     これに関するインタビュアーの発言を受けて冨田氏は語る。

      「たとえば今作っている鐘の音。これに似せるためにどんどん分析すると、
       実に様々な倍音が入っていることがわかってきた。つまり非常にたくさ
       んの音の組み合わせだね。その事を千年も前に言っている人がいるん
       ですよ。
       平家物語、“ 祇園精舎の鐘の音、諸行無常の響きあり ” これはその事
       を言っているんだと思い当たった時大変な感銘を受けたんです。昔の人
       は実際の鐘の音に無数の音を聞き分けていた。その鐘の音が少しづつ
       変わっていくこともわかっていた。無常、常ならず、人間の一番の苦しみ
       悲しみですね。それを鐘の音に見出し、平家の滅亡というたいへんな悲
       劇、膨大な出来事を重ね合わせていたわけです。」     

     冨田氏はNHK大河ドラマだけでも「花の生涯」、「天と地と」、「新・平家物語」、「勝海
    舟」、「徳川家康」をやっているし、初期も最近も宮沢賢治の世界の音楽をものしている。
     シンセサイザーというテクノロジーの権化を前にすると、技術論、様式論に走りがちだ
    が、それだけではアカンのだとつくづく思い知らされた。
     劇音(映画音楽、TV音楽)やれば、監督・演出家の意図に沿うようにどうしたって、作
    品世界へ入っていかざるを得ない。その時、シンセによる音づくりという「内部」を脱して
    監督・演出家の意図という「外部」にふれるのだろう。全体的にオタク的なポストモダニ
    ストにとって「外部」にふれるとは最も苦手なことの一つのではないか?
     フト、そんなことを考えた。
   
     冨田氏が退場する際、I の前を横切り思わず彼は「ありがとうございました。素晴らしか
    ったです」。と声を掛け握手してもらったそうだ。

     冨田3
                シンセによる音づくりを解説する冨田氏   - 撮影 I ―


     翌日は一人で再び真空菅オーディオフェアへ行く。
     ハイレゾについて聞きに行ったのだが、そのブースは自社の商品のPRばかりでした。 
     ハイレゾとは何か?

       【ハイレゾ】
        ハイレゾリューションオーディオ (High-Resolution Audio) とはCD
        のクオリティー(44.1KHz/16bit)を超える音質の音楽データのこと。

                                        CDとの情報比

         ◎ PCM(CD)         44.1HZ 16bit    ――   
          
         ◎ PCM(ハイレゾ)        96HZ 24bit      3倍

         ◎ PCM(ハイレゾ)       192HZ  24bit     6.5倍

         ◎ DSD64(SACD)  2.8224MHZ  1bit     4倍

         ◎ DSD128       5.6488MHZ  1bit     8倍


     PCからのダウンロードの他、ブルーレイもあるそうだ。
     確かCDの6倍以上の情報量がアナログ盤なのでハイレゾは限りなくアナログに接近
    することになる。
     何でDSDは1bitになるのか聞きたかったのだが、よう説明されなかった。
      
     別のブースにいくと、チェンバロとバイオリンの演奏を生録して再生していた。
     年代物?のチェンバロをこんなに間近で見るのは初めてだったのでチト興奮した。
     
    チェンバロ


     再生音は楽器そのもの、ナチュラルなのだが何か面白くない。
     やっぱり色づけしていないとオーディオにならない。
     もう一度キット屋(サンバレー)のブースへ移動する。    
     アンプの全デモをやるというので台風接近にもかかわらず最後まで聞いていた。
     こういっちゃ悪いが、真空菅オーデイオの世界って、「オラの村の地酒、焼酎は日本
    一だ!」 なのだと思う。わかる奴だけくればいい、わからん奴はあっちいけ!の世界
     それじゃアカンでしょ。
     別にキット屋の回し物じゃないが社長の大橋氏は企画・設計意図を明らかにして、そ
    れにジャストフィットのソフト持ってくるからね。実に説得的だと思う。
     プレイ中のプリアンプ、パワーアンプ、スピーカーの組み合わせもパワーポイントで一
    目瞭然なのはこのブースだけだ。
     自社アンプのチャート図までつくり、音質の「シャープ、ソフト」倍音の過多、などが一
    覧できるようになっている。
     またもでましたね、倍音。
     ビジネスの世界では当たり前だが、どのブースも「オラの村の・・・」なのだよな。
     一方、キット屋のブースでは倍音が豊かと言われる三極管(300B、2A3)も回路
    によって随分違うことがよくわかった。 

     大橋氏は社内ベンチャーで一人で始めて、このフェアに初参加した時はテーブル一
    つのスペースだった。7、8年後には大きな部屋を2日間貸し切れるまでに成長した。
     今やCS放送で自分の番組も持っている。 
     社長は何でも大変だが、好きなことで自分も会社も大きくなれるって素晴らしい。
     私もあやかりたいものだ。 

     この日の最初のブースも大橋氏もハイレゾ絡みで同じことを言っている。
    
      「究極のデジタルはアナログだ」と。
     
     これは前日の松武秀樹氏の発言とピタリ符合する。     

      「アナログの完璧さ、その最高峰にMOOGがある。よくぞこんなものを作って
       くれたというほどとんでもない機械なのです。でもそれはデジタルと決して
       相容れない物ではない。むしろデジタルとアナログ二つの共存に意味があ
       るし、昨今のハイレゾ等といってもアナログにどんどん接近しているデジタ
       ルの技術にも大きな意味があるんです。」

     「電気の祭典」はこれでおしまいだが、私の電気を巡る旅はまだまだ続く。
 
                                           (了)



日本電子音楽
 上下2段、本文576頁の大作。
どこまで読んだかしらんと思ったら、11章 
冨田 勲 「月の光」誕生までだった。
YMO登場は24章。この機会にまた読み
始めるか。 





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