素晴らしき放浪者の戯言

100年に1度の世界の大転換、50年に1度の日本の政権交代を見届けるブログです。 政治、経済、メディア、都市、映画etcの各分野を放浪しつつ 時たま核心に迫ります。

戦争映画3本

    



    暑くなったら何だか知らないが急に戦争映画がみたくなった。
    このご時世、戦争映画といえば反戦ヒューマニズム映画、反自虐史観戦争映画と相場
   が決まっているようだが、そう言う映画は食指が伸びない。
    好戦映画だってあっていいし、忠実に戦闘を再現した映画、戦争の狂気と悦楽に浸りき
   った映画だってあっていいはずだ。現実がそうなっては困るが事実としてあった事は否
   定できなし、いかに忠実だろうと映画というフィクションなのだからどんなドラマがあっても
   いいのだ。さて、どれにしようかと思案した結果、この3本となった。



  〔太平洋奇跡の作戦 キスカ〕 

 
    太平洋戦争というと玉砕ばかりだったような記憶がする。
    アッツ島、サイパン島、テニアン島、グアム島、硫黄島等々。
    キスカ島守備隊5200名の救出作戦を描いたものが本作です。
    米軍に包囲されたキスカ島を濃霧の中敵の間隙をぬうような潜行作戦を敢行し玉砕を
   まぬがれ見事撤収作戦に成功する。海岸に定刻になると集結し2時間だけ本土帰還を夢
   みるキスカ島隊員。何度も空振りに終わりつつ友軍の着艦を期待する。
    事実が「映画」のように面白く、ストーリーと役者が良ければそこそこの映画になる代表
   例のような映画。公開時1965年は「赤ひげ」も公開されており三船敏郎、絶頂期の余裕
   と貫禄が漂う。円谷英二のミニチュア特撮もCGに見なれも別物で盆栽の国、日本のお家
   芸のような趣きでなかなかいいもんだ。
    日本の軍隊は上層部がどうしようもないが、下士官以下は世界一優秀だと英露の軍人
   が評したというが、本作の大村少将(三船敏郎)はその例外で、部下が突入をはやる中
   沈着冷静で大胆不敵だ。   
    本作と無駄に兵隊を玉砕させた映画と2本立てでみてはじめて太平洋戦争とは何だっ
   たのかがわかるだろう。

             キスカ



  〔上海陸戦隊〕

    劇映画ばかりが映画じゃない、こちらはセミドキュメンタリー。
    上海海軍陸戦部隊とは海軍が上海の権益を守るために上海に駐留させていた陸戦隊
   のことをいう。そのせいか陸軍とは少し毛色が違い、海軍的な品の良さが伺える。
    海軍省が後援の国策(プロパガンダ)映画。
    プロの役者も使っているはずだが、どうも一線級は原 節子くらいのようでまるで海軍省
   の自主映画を観ているようだ。
    戦闘場面が迫真だと言われるが、それはそうだ、本物の機関銃や爆弾が使われている
   のだから。でも、中国兵の負傷、戦死のシーンが背景として添え物程度にしかでてこな
   い。当時の人は、固唾をのんだかもしれないが、我々は中国兵も日本人が演じているこ
   とを承知しているのだからどっちらけ。いっそのこと戦闘シーンはドキュメンタリーの方が
   いいのではないか。日本兵が一人も死なないではないかと思っていたら1時間を過ぎて
   ようやく一人戦死した。まあ~、プロパガンダ映画だから(苦笑い)。これ見て当時の軍国
   少年は「大きくなったらあのような立派な兵隊さんになりたい」と思ったのだろうか?
    そうは思うまい。その効果を狙うなら戦後つくられた劇映画の方がよほど大きい
   だろう。
    日本兵にほどこしは受けないと頑なに意地をはる中国女を原 節子が演じている。
    彼女が出てきてようやく「映画」になったような気がする。
    日本兵を睨めつけ「ペッ」と唾棄する原 節子、見事なまでのあばずれぶり。
    こんな原 節子みたことない、この他にあるのだろうか?
    そんな原 節子が見られれるくらいしか今やこの映画の価値はないと考える。

             上海陸戦隊




  〔陸軍残酷物語〕

    戦闘シーンゼロの戦争映画。
    上海陸戦隊と違い、我々がイメージする陸軍そのものを描き出している。
    下士官以下が優秀だと言われるが、「鬼軍曹」という言葉があるように一兵卒には理不
   尽なことばかりであります。班長・軍曹・亀岡(西村 晃)が1等兵・中村(中村嘉葎雄)を
   殴り、連帯責任だと言わんばりに主人公・犬丸弥七(三国連太郎)ら2等兵を殴りまくる。
    このうえない理不尽の数々につに犬丸がキレて・・・。脱走する犬丸、中村の二人から
   始まり古典的なフラッシュバックで何故、犬丸がキレたかが次第に明らかにされる。 
    残酷物語というより理不尽物語といった方がいいだろう。この理不尽さは軍隊でなくて
   も程度の差こそあれ日本人の組織、例えば会社、官庁で今もいくらでも見られると思う。
   ブラック企業では直接的暴力はなくてももっと陰湿かつ巧妙に罠のように仕組まれている
   だろう。そんな渦中にいる人は本作は見たくないかもしれない。私にとってはもう過去の
   世界なので「変わらないんだな」と思いつつ感慨深く拝見した。
    本作は佐藤 純彌監督の処女作であります。
    ふり返ってみれば彼の作品は組織の理不尽の極地に戦いを挑む男の映画が代表作と
   して列挙される。
    高倉 健が中国で超有名人となったことで知られる「君よ憤怒の河を渉れ」も洋画「逃
   亡者」ばりに無実の罪を着せられ孤軍奮闘するのだが精神病院に強制入院させられ、
   MKウルトラように洗脳されそうになる筋立てだ。この映画の悪の首領は西村 晃
   だった。
    「野生の証明」でも高倉 健は自衛隊の暗部を知ってしまって、さらに東北を牛耳る巨魁
   の頸木から逃れようとするが故に孤立無援となる。ここで巨魁を演じるのは「陸軍残酷物
   語」で朴訥な農村出の2等兵を見事に演じた三国連太郎だ。
    「映画監督は権力と戦って敗れ去る快楽を知っている人のことだ」―― これは篠田正浩
   監督の名言だが、そういう意味で佐藤純彌監督は映画らしいテーマを持った映画をつくる
   人だろう。

             陸軍残酷物語


    以上、すべてツタヤで普通に借りられます。










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