素晴らしき放浪者の戯言

100年に1度の世界の大転換、50年に1度の日本の政権交代を見届けるブログです。 政治、経済、メディア、都市、映画etcの各分野を放浪しつつ 時たま核心に迫ります。

「 一帯一路 」 の時代、日本は? 後編

    



    さて、親米保守のように 「 一帯一路 」 、AIIBを巡る綱引きを単純に米国と中国のバト
   ルと割り切っていいものだろうか?
    「ところでTPPって延期になったの?それとも終わったの?」でも引用したが、もう一度
   副島氏の言説を引用してみよう。

      それと、金融市場(マネー・マーケット)という 仮想の世界で、実需(じつじゅ)の
      経済活動を無視して、仮需(かりじゅ)でしかない部分から派生した金融取引が
      膨大化して、そこでの金融バクチ(博奕)しか脳がない、強欲金融人間たちが、
      敗北しつつある。自分たちが今でも、世界の金融の最先端技術(ハイテク)の
      エリート人間だと、大きく勘違いしていることが、大きな背景にある。

      クレジット・デリバティヴなどという、今やその欺瞞的な手法が満天下に暴かれ
      てしまった、インチキ金融商品で、「お金でお金が生まれる」と信じて疑わない、
      馬鹿野郎たちの時代が、もう終わっている。 
      世界は、2008年のリーマン・ショックのあとは、「(うそ臭い)金融 から 
      (中身のある)実物経済(タンジブル・エコノミー)の時代へ 」と大きく変わった
      のだ。             
              (中略)
     
      アメリカが世界一で、日本はしっかり、お金を払い続けて、アメリカについてゆけ
      ば、日本は安泰だ、と考えている程度の人間たちでは、もう、これからの世界
      ( 新興国と途上国が主導する )にはついて行けない。勝手に自滅するがいい。

                       ~ 副島隆彦 「重たい掲示版」 1809 ~



    そんなことはないと得心のいかない方もおられるだろう。
    金融工学のハイテクはそうかもしれないが技術のある先進国が世界をリードするに決ま
   っているじゃないか、新興国や途上国は人口が多くて資源があるだけじゃないか、そう思
   われる人は少なくないと考える。確かに技術がある方がいいとも言えるが、かつてほど
   技術の優位性がGDPに寄与するとは限らない。
    もう技術(革新)が人口比を凌駕する時代は終わろうとしている。
    この認識は非常に重要だ。

    軍事レベル最新技術ならともかく、一般消費者レベルについては(一部「ブラックボック
   ス」につつまれた部分は別としても)世の中、「価格.COM」であって、少しぐらいの技術
   格差はブランディングしていようとすぐに価格の叩きあい(これを「競争」とかいう人もいる)
   になってしまう恐ろしい時代だ。つまり、少しくらいの先端技術は「コモディティー」(日用
   品)になってしまうのだ。国内レベルではこのような説明できるが、世界レベルで考えると
   グローバリズムによる技術、労働の平準化が大きく作用することは言うまでもない。 

    産業革命までは人口比どおりのGDP比になっていて中国、インドで世界のGDPの  
   20~30%を占めたそうだ。産業革命で技術(革新)が人口比を凌駕し、イギリスが「帝
   国」になった。
    これからはまた産業革命以前の人口比がものをいう時代に逆もどりというわけだ。
    中国やインドなど人口の多い国がGDPも伸長するということになる。
    バーチャルなサイバー金融資本主義はまもなく終わり実物経済の時代となる。
    技術(革新)が人口比を凌駕できないうえに実物経済の時代となれば、人口が多くて資
   源の豊かな国はどうしたって台頭してくる。
    どんなに中国が嫌いでもこればかりは致し方ないのだ。

    中国は沿岸部と内陸部に大きな格差・矛盾をかかえている。
    日本とは違い戸籍を移せないのだから内陸部の農村に生まれたら一生浮ぶ瀬がないと
   いっても過言ではない。
    この状態がいつまでも続いていたら国がもたない。

     中国には人口16億人(本当は17億人になりつつある)のうち8億人の農民がいる。
     都市部に5億人の恵まれない若い人たちがいる。彼らに職を与えないといけない。

     ~副島隆彦 著 「中国、アラブ、欧州が手を結びユーラシアの時代が勃興する」 ~
  
   
    そのためには副島氏は中央アジア、タクマラカン砂漠に50kmおきに人口100万都市
   を10個くらいつくればいいと説く。さらにスケールが大きくなっていく。

     これはユーラシア大陸の内陸部に、巨大な需要(デマンド)をつくるということだ。
     ドーンと長距離を突き抜ける縦貫道路の威力は私たちも知っている。これで新た
     に10億人分の消費と投資を生み出すことになる。この新たに増える10億人に
     は中国人(漢民族)だけではなく、すべてのアジア人種が入る。「一帯一路」で、
     新しく10億人の人間に職を与えることができれば、中国は生き延びることがで
     きる。今の繁栄を続けることができる。反対に、これができないと、失業者が増
     えて中国全土で暴動が起きて、北京の共産党政権は倒れる。だから中国とし
     てもやらなければいけない。新たに10億人が生きてゆける世界をつくる、とい
     うことは、人口100万人の都市を1000個、ユーラシア大陸の中央(部)一帯
     につくるということだ。
  
                               ~ 引用 同上 ~


   
     あまりにスケールが大きくて島国・日本の猫の額ほどの土地で「あ~でもない、こうでも
    ない」と人生の貴重な時間を浪費していると思うとホトホト阿呆らしくなってくる。
     先日の講演でも副島氏はこう言い放っていた。

      「これからの日本にいても若い人は一部上場企業で奴隷になるかコンビニの
       店員だ。」
        (会場は私より年配者が大多数だった)
      「みなさんのお孫さん、甥っ子、姪っ子に500万円あげて下さい。海外で一旗
       あげてこいって言ってね」

   カザフスタン
     カザフスタンの世界都市アルマトイ
    「一帯一路」構想でなぜ次の世界銀行、IMFがカザフスタンに出来るか納得だ。
    「海の地政学」から「陸の地政学」の時代へ、「世界島」=ユーラシア大陸の
    ほぼ中央、ロシア、中国、インドの緩衝地帯、そんな地理的特性を持ち、なおか
    つ彼らの故郷ハザール帝国の版図と重なるカザフスタンに国際機関が置かれる  
    のは当然だ。


     そうは言っても砂漠に都市など出来るものなのだろうか?
     砂漠を緑化とはいかないまでも水さえあれば都市は出来てしまうそうだ。

      電力と水さえあれば都市をつくって樹木を生やして生きていける。
      その貴重な水を、この30年間ぐらいで、日本の真水化プラントの技術でアラ
      ブ世界は確保したということである。これからの世界を考えるうえでこの事実
      は重要である。
      現在では広く知られているが、すべては東レの逆浸透膜という、材料工学の 
      成果である。他の企業もすべてこの東レの真水化特許技術を買って使ってい
      るようだ。
      驚くべきことに、近代都市の汚水の処理技術で200年は先を行っている先輩
      であるフランス(ヴィペンディ社)やベルギー(GDFスエズ社)が、真水化プラ
      ントではまったく日本企業に立ち遅れている。東レは、イラク戦争(2003~
      2012年)のさ中に、イラク南部のバスラで巨大な海水真水化プラントを動か
      した。それを航空自衛隊の輸送機が、イラク各地の米軍基地に運んだ。

                                 ~ 引用 同上 ~


     東レのみならず日立造船も海水真水化プラント推し進めている。
     海水を真水にして砂漠を緑化する件はベンさんから何度も聞かされていたが、何のこ
    とはない、すでに日本企業がやっていたではないか。
     この事実を知ったなら親米保守はこういうことを思いつかないだろうか?

      「『 一帯一路 』 の中央アジアの砂漠に都市を作る際、海水の真水化プラントがカギ
      を握る。つまり一帯一路において日本企業が重要な役割を果たす。
      それならばこれを武器にAIIBに参加しても日本は相当な発言権を持つことは出来る
      だろう」と。
 
      その他、環境浄化技術とか日本企業にはいくらでも武器があると思うのです
      がね・・・。
      経済一流、政治は三流どころか今や五流ということでしょうか?
     

     さて、最後に前回留保していた命題「なぜ中国の帝国主義化を許すのか」に答えよう。
     中国の経済成長は日本で言うと、明治維新の殖産興業と戦後復興が同時にきたよう
    なものだと評する人がいる。つまり、近代化 ⇒ 大国化の過程で不可欠な帝国主義(植
    民地を持つ)と戦争を中国はいまだに経験していない。(抗日戦争は経験したが、大国
    化の過程における戦争は経験していない)
     それ故、中国の軍事力強化に大国化への過程としての戦争を懸念し、その前段とな
    る帝国主義を「一帯一路」にみることは歴史的思考といえよう。
     でも、それはあくまで20世紀的思考だと考える。
     仮に中国が帝国主義を標榜しても、AIIBに参加する欧州各国はおそらく別のことを
    考えている。中国の帝国主義を奇貨としてジャック・アタリ曰くの「超帝国」を実現しよう
    としているのだと思う。
     「一帯一路」の世界は空路、海路、ネットによるグローバリズムよりはるかにリアルな
    グローバリズムだ。「一帯一路」が推進され実現されるに従い中国の帝国主義は伸長
    するのだろうか?私はそうは思わない。中央アジアや中国の辺境が栄えるということは
    これらの新たな100万都市は中国国内で交易するというより各都市がダイレクトに他
    国と経済活動することになろう。まさに「グローカル」の世界の実現だ。
     その頃、中国はどうしても民主化を成し遂げているだろうから中央政府があれこれ規
    制し干渉してくることを嫌悪すると思う。もうおわかりだろう。
     今でもそうかもしれないが、より一層明確に中国版「地域主権」となると考える。
     英国(ロス茶)はそこまで見込んでいると思う。
     その時、彼らが目論んでいるといわれる中国4分割を実現させると思う。
     地域分割が行われた時、中華人民共和国という国民国家の帝国主義を云々しても
    しょうがないのだ。「超帝国」の時代、欧州だろうと米国だろうと、中国でも日本でも
    本社がどこにあるかではなくグローバル企業が「超帝国」となるのだから。

     そうなった時、中国4000年の歴史といっても「易姓革命」で王権の連続性が乏し
    い中国と皇紀2600有余年連綿と続く日本の天皇制とどちらが国民を束ねられる
    だろうか?

     そんなに中国を恐れる必要はないのであります。

                                  (了)


副島 中国
例によって賛否両論真っ二つのようだ。
「一帯一路」やAIIBがいかにリアルに感じら
れるかに本書の評価はかかっている。
それは読者の政治・経済の知識だけでなく
インテリジェンスと(将来からのアプローチも
含めた)歴史認識によって異なるだろう。







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