素晴らしき放浪者の戯言

100年に1度の世界の大転換、50年に1度の日本の政権交代を見届けるブログです。 政治、経済、メディア、都市、映画etcの各分野を放浪しつつ 時たま核心に迫ります。

Reboot 「デヴィッド・ボウイ」 VOL.2

   



   〔★と☆の狭間で〕 

    【トリー・デフリーズ】

     変容する「ペルソナ」たるデヴィッド・ボウイはカメレオンマンにしてセルフ・プロデュース
    力に長けたロックミュージシャンだと思う。
     ビートルズは初期、アイド・グループとして売り出され、リバプールの不良がマッシュル
    ームカットされてしまったが、ボウイに関してはそんなことはなかった。
     アイドルグループとジギー・スターダストじゃ、全然違う。
     ボウイは最初からセルフプロデュース力があったと思うが、スターの陰に名マネージャ
    ーあり、ビートルズにブライアン・エプスタイン、ボウイにも「ペルソナ」をとっかえひっかえ
    する様を舞台の袖から見ていた男がいたのだ。この男の名をトニー・デフリーズという。
     何人かマネージャーがいたが、1970年から75年(「世界を売った男」~「ヤングアメリ
    カン」の頃)、ボウイがスターダムにのし上がっていく過程のマネージャーだ。
     どうもこの男は怪しげだ。全英で出版されたほとんどがファイルされていると言われる
     新聞図書館に写真が2枚しかない。
     そのうちの1枚は手で顔を覆っていて、どうしても写真は困るという風情だ。
     
     デフリーズは弁護士事務所に勤めていた経験を生かし弁護士でもないのに広告・写真
    関係の契約等の法律問題を「弁護士」と偽り引きうけていた。
     その程度の怪しい奴は業界にいくらでもいるのだが、この一節をみつけどうも匂うなと
    思ったのです。

      1971年の夏、トニー・デフリーズは出版されたばかりのアメリカ人ロック
      ライター、ジュリー・ホプキンスの手になる 『 エルビス 』に夢中だった。

               (中略)

      デフリーズがもっとも頻繁に取り上げていた話は、プレスリーのマネージ
      ャー、パーカー大佐に関するものだった。

                ~ ピーター&レニー・ギルマン 著 野間けい子訳
                   「デヴィッド・ボウイ 神話の裏側」 p245 ~


      何じゃパーカー大佐って?
      こいつも辣腕ではあるが胡散臭いことこのうえない人物であることは同書を
    読むだけでわかるのだが、パーカー大佐はただの怪しい業界人ではないのだ。
     それはまとめて後述するとして、セルフプロデュース力に秀でたボウイにも黒
    子・デフリーズの存在は少なからず影響している。

   
    【闇の世界への誘い】

     もともと志向する方向がボウイとデフリーズは共通していたのだろう。
     ボウイはいかにスターとして振る舞うかに腐心していた。マレーネ・ディートリ
    ッヒが一番美しく映る角度からしか写真を許可しなかったことを真似たり、自分
    ではいかなる時もドアを開けず人に開けてもらったり、飛行機嫌いというスター
    らしいエピソードをこしらえたりした。
     そんなボウイとパブリシティー担当、デイヴィスとのこのパラグラフは「やはり
    きたね」という思いがする。 

      デヴィッドはジギーとしてばかりではなく、スターとしての自分自身の行動
      に関してまったくの確信をもっているようだった。彼はイギー・ポップやリー
      リードが成し遂げたことを語り、パーカー大佐の教えも披露した。

               (中略)

      デフリーズがそうだったように、デヴィッドもパーカーの逸話のなかに、いい
      抜けのうまさと魅惑的なものを作り上げることの関連性を見ていた。
      デヴィッドはデイヴィスに、ハリウッドのきらびやかな面の裏側にあるスキャ
      ンダルの数々を描いた、ケネス・アンガーの「ハリウッド・バビロン」の本を
      見せ、のちにデイヴィスに自分の本を与えている。
      
                            ~ 引用 同書 p267 ~


     これまた「きたね、ケネス・アンガー」というものでありまして、彼はある映画を企画し
    ていた。
    
      彼は悪魔に捧げる映画「ルシファー・ライジング」をつくろうとし、ミック・ジャ
      ガーをルシファー(魔王)に、キースをベールゼブラにしようとした。アンガー
      は次のように語っている。
      「ベールゼブラは、本当に蠅の王であり、悪魔の複雑な位階の中で、王に
      次ぐ位の王子なのである。ベールゼブラはルシファーの右腕なのだ。
      ストーンズの中のオカルト的な結合は、キースとアニタと・・・そしてブライ
      アンだ。ブライアンも、ウッチだと、私は確信している。彼は自分の悪魔の
      乳房を見せてくれた。彼は内股の非常にセクシーな部分に余分な乳首を
      もっていた。彼はいった『時々、これがひどくうずくんだ。』彼はそれをひ
      どくよろこんでいた。ミックはルシファーの役をおりてしまった。彼はおじけ
      づいてしまったのだ。彼がビアンカと結婚した時、かれはかなり目立つ金
      の十字架を首にかけていたよ。」

      ~ 海野 弘 著 「街角でコヨーテを聞いた 都市音楽の二十世紀」~

    
     それでよかったのであって、ミック・ジャガーの代わりにルシファーを演じたロックバ
    ンド「ラブ」のギタリスト、ボーソレイユは撮影中気がふれて残虐殺人を犯したそうで
    あります。
     ロックと悪魔崇拝(サタニズム)を「陰謀論」で片づけてはいけないのです。 
     悪魔は人間の心のすき、弱みにつけいるものです。
     トニー・デフリーズと版権等財政上の裁判沙汰をやり、ボウイは彼と決別することと
    なった。

      メインマンと分裂した際のデヴィッドの行動には、いくぶん精神分裂症の
      徴候が見受けられた。
      たとえば、彼の兄、テリーと同様にデヴィッドはだらしなく、外見や見ぎれ
      いにすることを気にかけなくなった。テリーと同じに、彼のあとをつけてき
      たり、彼を脅かす“ 心霊ヴァンパイヤ ” のような霊にとりつかれたと信じ
      ていた。

               (中略)

      1974年のツアーの終わりには、彼は自己を見失う寸前だった。
      良い悪いはあとにして、メインマン、つまりデフリーズから逃れることは、
      デヴィッドの人生、自分の目標を取りもどそうする際に、必要不可欠な
      行動だったといる。

               (中略)
    
 
      デイヴィッドはオカルトに興味を示しはじめていた。『ハリウッド・バビロン』
      の著者であり、セックス、宗教的儀式、魔術を扱った映画の監督である
      ケネス・アンガーに彼は出会っている。
      彼の映画の一つに、退廃的なヴィクトリア朝風の魔術師、神秘論者の
      アレイスター・クローリーの「快楽の殿堂の誕生」がある。

              (中略)

      レッド・ツッペリンのリード・ギタリスト、ジミー・ペイジとも不思議な出会い
      をしている。当時ニューヨークに住んでいたペイジもまた、アレイスター
      クローリーに魅かれていた。

               ~ ピーター&レニー・ギルマン 著 野間けい子訳
                   「デヴィッド・ボウイ 神話の裏側」 p397 ~



     やっぱり出てきたね、アレイスター・クローリー。
     単にケネス・アンガーはアレイスター・クロウリーを映画の題材にしただけではない
    のだ。

      アンガーは二十世紀のメイガス(大魔術師)アレイスター・クロウリーの
      弟子であった。クロウリーは黒魔術を使うことができた。アンガー自身も
      メイガスであるといっていた。ストーンズや、レッドツッペリンのジミー・
      ペイジなどはアンガーに心酔していた。 

       ~ 海野 弘 著 「街角でコヨーテを聞いた 都市音楽の二十世紀」~


     ますます「Paint It Black」なデヴィッド・ボウイ。
     でも、1974~75年のボウイを導いた星は★ばかりではなかった。
     この時期、☆とも出会っている。

                                  (つづく)








      
     
スポンサーサイト

文化 | コメント:0 |
<<Reboot 「デヴィッド・ボウイ」 VOL.3 | ホーム | Reboot 「デヴィッド・ボウイ」 VOL.1>>

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

| ホーム |