素晴らしき放浪者の戯言

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夏の戦争映画 VOL.2 「潜水艦イー57 降伏せず」 後編




    「夏の戦争映画」シリーズ VOL.3 も 海軍ものだが、戦闘さえなければ海軍は案外、呑
   気ところがあったんじゃないかと思う。陸軍のように食いっぱぐれることはないし、灼熱の
   中、怪我や疫病と闘いながら延々と行軍する必要もないのだから。 
    近年の戦争映画はあまり観ないのだが、どうもやたら悲壮なところが強調され、生真面
   目主義が大手を振って歩いているような気がする、右派の映画も反戦映画も。
    軍国主義の時代、戦闘に勝ったら国民が提灯行列したりしたのだから浮かれ騒いだ部
   分の描写がもっとあっていい。そもそもいくら軍国主義の時代でも緊張はそんなに長く続
   かないものだ。
    あんなに浮かれ騒いだのに何とも悲惨な末路を向かえることを描くことに意味がある。

    本作でも下士官以下は浮かれ騒いでいるとは言わないが結構、軽佻浮薄なところがあ
   ってその点はしかっかり描写されている。もっとも締めるところは締めるのであって、艦長
   は敵国を一戦を交えるのだが、非戦闘員の外交官父娘を敵国に引き渡すため一端は降
   参する。この時、広島に原爆が落とされ終戦へのカウントダウンが始まり大本営から
   イー57に作戦中止の無線が送られるが交信は途絶えてしまったことから悲劇が始まる。
    一端は降参したが、イー57は再び戦闘開始する。
    最後は特攻隊よろしく敵艦に体当たりするのだが、この様を右派の人はサムライ精神を
   みるようだと賞賛するが本当だろうか?
    戦国時代の武将も日本軍の名将も無駄に部下を殺させないし、沈着冷静にして大胆不
   敵だ。昨年取り上げた「キスカ」の大村少将などその典型だ。
    単なる直情径行など悲劇でしかないが、軍国主義の時代、「生きて捕囚の辱めを受け
   ず」だから仕方ないか。

    今だったらどうだろう。
    自衛隊は100%そんなことをしないと思う。
    それは軍国教育の有無によるものだけか?
    日本の場合、大東亜戦争が近代化の過程の戦争という側面とサムライ精神の曲解が結
   びついたのだ。
    英米軍が名誉の戦死より捕虜となることを選んだのは彼らが臆病だったからではなく、
   「近代化」を達成していたからだ。
    イスラム国が自爆テロするのは洗脳されているからだけではない。かの国々はいまだ発
   展途上国で「近代化」していないからだ。
    この映画の自爆行為にサムライ精神を見たとかいう右派の発言は自分及び自分の家族
   が戦争に行くことがないという逆説的平和ボケ、若しくはフィクションに過ぎないという安心
   感、及び「近代化」についての無知に起因する。
    「近代化」への無知と逆説的平和ボケと価値相対主義の裏返しがネトウヨを生むのだ。
    
    本作は一見実話のようだがフィクションだそうだ。  
    実話でないこの映画の自爆行為に軍国主義時代のリアリティーを体現しつつ、後代の
   右派のメンタリティーを満足させながら、同時に冷静に考えれば所詮、犬死でしかないと
   描き切ったことは秀逸だ。

   こういうのが戦争映画だと思う。

                                (VOL.2 了)  



 





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