素晴らしき放浪者の戯言

100年に1度の世界の大転換、50年に1度の日本の政権交代を見届けるブログです。 政治、経済、メディア、都市、映画etcの各分野を放浪しつつ 時たま核心に迫ります。

夏の戦争映画 VOL.4 「スカイクロラ」 前編

    



    人は大義なき戦争、少なくても戦う意義の希薄な戦争を戦い続けられるものだろうか?
    イスラム国のテロにしても、我々には全く意義が感じられないが、彼らにしてみればアッ
   ラーのための「聖戦」だと信じて、いや洗脳されて戦っている。
    昔なら日本人も「お国のため、天皇陛下のため」に太平洋戦争を戦った。
    「愛国心」なんてのは戦後、後づけで出来た言葉で、戦中は「お国のため、天皇陛下の
   ため」に戦ったのだと思う。「大東亜共栄圏」、「アジアの国々を列強から解放」、そんなの
   は軍上層部が語っていたことで一兵卒はあずかり知らぬことだ。

    前回述べたように「日本政府と軍部(少なくても山本五十六率いる日本海軍)には、何
   が何でもアメリカに勝つ強い意志など、最初から微塵もなかった」としたら、玉砕した一兵
   卒は犬死でしかない。「犬死」を「英霊」の美名のもとに覆い隠すとしたら、それは軍上層
   責任を永久に宙吊りにすることに他ならない。それは忘れさられていいことではなく、許
   されることでもない。
    右派が何と言おうと、私は今後もこのスタンスを堅持し続ける。

    さて、そんな思いが募ってくると、今まで見ずじまいだったある映画が気になってきた。
    押井 守監督「スカイクロラ」だ。
    ご存知のようにこの映画は、草薙水素が語るように「平和を実感させるため戦争の悲
   惨を見せ続けるため」に戦争請負会社によって戦争が繰り広げられる世界を描いたもの
   です。
    霊能者によると、死期の迫った人はホントに影が薄く透けてみえるそうだが、この戦争
   請負会社のパイロットたちは誰も影が薄く描かれており、ホントに生身の人間か、クロー
   ンかアンドロイドではないかと思われるほど熱量を感じさせない。
    空中戦の描写が素晴らしいとか賞賛されるが、アニメであるうえ血がでそうもないキャ
   ラクターではどんなに優れた映像でも「戦争映画」としては魅力に乏しい。
    「そんなことわかっているよ」と押井 守は言うのだろうが、本作は宮台真司曰くの「終
   わらない日常」を生きる人の映画だ。
    身の回りに「攻殻機動隊」の大ファンがいるが、彼は「僕も早くサイボーグのようになり
   たい」と言っていた。そんな彼は「終わらない日常」を生きている人だったが、今もおそら
   くそうだろう。彼に「スカイクロラ」についてどう思うか聞いてみたいところだ。
    別に彼に限らず、この映画にしっくりくる人はいまだに「終わらない日常」を生きている
   人達だと思う。実はそういう人達が今日の日本人の過半数なのかもしれない。

    私はこのブログを始めてからある喪失感をじわじわと味わっている。
    もちろん、貸借対照表のように同じくらい充実感も感じているが。
    その喪失感はどんどん広がりつつあり、ある終局へ向かいつつある。
    それは何かというと、

     「フィクションの死」

 
    であります。
    半端なフィクションなどどうでもよくなってきた。
    なぜなら、「現実」といわれる非ネット社会とネット社会の「リアル」がパラレルワールドの
   ように存在するからだ。それくらい誰も体験しているかもしれないが、私の場合、さらに事
   情が錯綜している。メディアには登場しないが、ネットの「リアル」が「現実」といわれる非
   ネット社会の「深層」と合致したりするからだ。この「現実」と「リアル」の乖離と接近はヘタ
   なフィクションより数倍も面白い。
    そんな私にとって宮台真司曰くの「終わない日常」などとっくの昔に終わったことだ。
    
    押井 守が「パラレルワールド」、「虚と実」を自家薬籠中のものとしていることは周知の
   ことだろう。あの「うる星やつら ビューティフルドリーマー」で何重にも繰り広げられるパラ
   レルワールドと「アニメやフィクションでは『夢おち』は禁じ手」という言説をせせら笑うが如
   く極限まで反復される「夢おち」。これらによって精巧に構築されたメタフィクションの世界、
   及びその破壊。
    素晴らしいじゃないか!

    
    「フィクションの死」を感じる今の私が観てもあの作品は楽しめると思う。

                                           (つづく)
                                     
  







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