素晴らしき放浪者の戯言

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夏の戦争映画 VOL.4 「スカイクロラ」 後編

    



    さて、翻って「スカイクロラ」はどうだろう。
    SFというわけでもなく悪夢のようなファンタジーかもしれない。
    日本人らしい登場人物だが、国籍、時代は曖昧になっている。
    終盤、ロストック社とラウテルン社の大バトルに際して作戦地図が映し出されるが、よく
   目をこらしてみれば微妙に現実の世界地図と異なる。このあたりにも未来でもなければ、
   特定の時代でもなく、現実世界とは異なる世界の戦争ということが現れている。
    いくら時代背景を消し去ったとしてもゲームではなく、映画なのだからフィクションのお手
   前、つまり実の部分、リアリティーを無視してはいけない。
    メカニカル、または背景のディテールにこだわっても現実世界のリアリティー無視しては
   いけない。
    軍事請負会社、すなわち民間軍事会社(傭兵部隊)は現実世界に存在している。
    原作者・森 博嗣、押井 守も承知しているだろう。
    誰の小説家か失念したが、「天国が飽きたから地獄が見たい」的な目的、本作のような
   高尚な目的のために民間軍事会社は使われているわけではない。本作のような使用目
   的はあり得ないといってもいいかもしれない。現実の民間軍事会社は物凄く残酷で野蛮
   であります。イスラム国はもとより、事実上、民間軍事会社が関与しているといわれるウク
   ライナの戦闘を観てみればいい。本作は悪魔のいない国、日本から生まれた民間軍事会
   社であり、現実の民間軍事会社は悪魔のいる国の産物であります。
    悪魔のいない国の産物である本作の民間軍事会社でもいったいどんな人がこれに従事
   するというのか?
    この点をクリアするための設定がキルドレということになるのだろう。
    戦死しない限り老化も病死もしない存在、キルドレ。
    それは結構だが、半不老不死に転生まで入れたら「夢おち」より最悪な掟破りだ。

    本作で唯一「映画」だと思ったのはボーリング場から始まる一連のシークエンスだ。
    このシーンから始まって、真実の告白、ラブシーンとつながるのだから力点が置かれて
   当然ともいえるが、その入り方が実にいい。
    「何だよボーリング場かよ」とまず思わせるところが。

    仮に定期的に戦争を見せることで平和が実感できる社会が存在するなら、その社会は
   もっと成熟しているし、社会そのものが大幅に変わってしまっているだろう。
    その社会は A I によって管理・監視された世界だろう。
    民間軍事会社による戦争も A I によって管理・運営・実践されているはずだ。
    AI を搭載したロボット兵とコンピューターとつなぐチップを埋め込んだサイボーグ兵は
   DARP(アメリカ国防高等研究計画局)が開発済み、及び開発をめざしている。

     簡単にいうと、前者は映画「ターミネーター」に出てくるロボットで、すでに実用
     化は間近。後者は生身の人間がインターネットと結ばれ、そこから逐次情報を
     得ながら攻撃などを判断する。グーグルで人工知能開発の総責任者を務める
     レイ・カーツワイル氏によると、「2030年代には人間の脳とグーグルは接続可
     能になる」という。

                      ~ 日刊 ゲンダイ 8月19日 ~


    こうなると「スカイクロラ」は完全に過去のものとなる。
    そうならないためには、A I によるハイテクが崩壊した後のローテクな戦争という世界
   に設定にしなければならないはずだが、そのあたりが無視されていることから「スカイ
   クロラ」は観念による観念のための観念の戦争以外の何ものでもないということになっ
   てしまうのだ。

    やはり、戦争映画は過去の戦争ものに限るということになってしまうのだろうか?


                                (VOL.4 了 VOL.5につづく)






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