素晴らしき放浪者の戯言

100年に1度の世界の大転換、50年に1度の日本の政権交代を見届けるブログです。 政治、経済、メディア、都市、映画etcの各分野を放浪しつつ 時たま核心に迫ります。

A I 時代の教育

     



     将来、2030年頃か、ITによって仕事が奪われる旨、記事にしたことがありました。
      ( 「スピリチュアル」と「実務」の交点」
     「2030年 あなたの仕事がなくなる」という週刊東洋経済(2013年3月2日号)の記事
    を参考にしたものだが、当時は「IT」という言葉は頻出しても「AI」という言葉はほとんど
    出てこなかった。

     俄然、AIが世間の注目を集め出したのは、この2~3年だろう。
     チェスの世界チャンピオンがAI に負けた、囲碁の世界チャンピオンはかろじてAI を負
    かし面目を保った、等々。
     先だって日本が開発したAI が東大受験を断念したことがニュースとなった。

      「こちらは、東京大学の合格を目指して、4年にわたってセンター試験の
      模試を受けてきた人工知能『東ロボくん』です。
       有名私立大学に合格するほどの成績を収めてきましたが、このほど東大
       の合格は諦めることになりました。 その理由とは?」

      得意とするのは数学や世界史など、蓄積した知識や論理を扱う科目。
       しかし、英語や国語など「読解力」を必要とする科目は苦手です。
      東大合格の水準まで成績を上げることは、現在の技術では難しいと見極められ
      たとして、進路変更を決めたのです。

                                   ~ NHK ~



     AI はデータ、数的処理、論理力などは優れていても今のところは読解力が劣るよう
    だ。そのAI よりも昨今の中高生の方が読解力に劣るという。

      「AIの性能を上げている場合ではない」──東ロボくん開発者が危機感を
      募らせる、AI に勝てない中高生の読解力


      「東ロボくんの性能を上げるよりも、中高生の読解力向上が直近の課題」――国立
      情報学研究所(N I I )が14日に開催した人工知能(AI)開発プロジェクト「ロボットは
      東大に入れるか」の2016年成果報告会で、中心メンバーの新井紀子教授が警鐘を
      鳴らした。

      N I I の調査によれば、中学生よりも(文脈を理解できない)AIのほうが文章を読め
      ているという事例があるという。「正直言って、東ロボくん(AI)の性能を上げるよりも
      中高生の読解力を向上させるほうが国民としては直近の課題だ」(新井教授)。

 
                                   ~ IT media ニュース ~



     昨今、OECD加盟国での調査結果にもこの傾向がはっきりと見てとれる。

      経済協力開発機構(OECD)は6日、72カ国・地域の15歳(日本は高校1年)約54
      万人を対象として2015年に実施した国際学習到達度調査(PISA)の結果を公表
      した。
      日本は「科学的応用力」が前回12年の4位から2位に、「数学的応用力」が7位から
      5位に順位を上げた。一方、「読解力」は4位から8位に低下した。

                                    ~ 時事通信 ~


     何でそうなるのだろうか?
     その原因は様々指摘されるだろうが、やはり非対称性 ≒ デジタル人間が増えている
    ことに起因するのではないか。ゲーム脳と言ってもいいかもしれない。処理スピードは速
    いが本当の意味の思考力は昔より劣化しているように思えてならない。
     もう少し科学的に言えば、おそらく前頭前野がおかしくなっているのだろう。
     前頭前野は思考力や創造性を司っているヒトを人たらしめる最高中枢と言われる。
     スマホ、携帯等の電磁波やその他の原因で前頭前野がダメになっていることはよく喧
    伝されるが、私は専門家でもなければデータもないのでこれ以上深入りはしない。

     もう少し現実的視点で言えば、「やれ、統計が大事だ、ビッグデータだ」というが、これら
    はスパコンで可能な分野であって統計学を修めることが本格的な「AI 時代」になれば今
    ほど意味のあることとも思えない。
     一方、すべてスパコン、AI におまかせというのも如何なものかと言う指摘もあろう。
     電卓があるのだからそろばんなんかいらない、時代遅れとはならないように。
     そろばんが出来れば暗算ができるようなりにそれなりに役に立つ。
     実際、簡単な計算はすべて暗算でやり、念のため電卓で検算するという人は存在す
    るのです。それではフラッシュ暗算まで必要かというとそれは疑問符がつく。
     高速処理とは別のところで数的処理を人力でやることの意義は別のところにもある
    のです。浜 矩子同志社大学大学院教授は三菱総研時代を振り返って述壊する。

      このころは細かい品目ごとの輸出入データを作成する時も、電話帳を3冊くっつ
      けたような分厚い通関統計から商品分類の番号を探し出し、手書きで数字を抜
      き出していました。おかげで、根気と耐久力が要求される仕事を恐れないように
      なりましたね。

                                 ~ 日刊ゲンダイ 12月8日 ~


     さて、何故AIは読解力に劣るのだろうか?
     素人の推論に過ぎないが、AI は矛盾すること、あいまいなこと、現段階では理解不能
    なことをホールドすることが苦手か、場合によってはフリーズしてしまうのではないか?
     それとAI は、少なくても現段階では、情感、情理、感性といったものが無いか、若しく
    は著しく払底しているのではないか?
     これら基礎がないからいくらでも「学習」は出来ても「経験」が出来ないのでは?
     「更新」はできても、ある時「ハタ!」と閃くことがないのではないか、少なくても今のと
    ころは。
     大量高速処理、瞬時に最適化、結果を出すことがAI の主たる能力だろう。
     現時点では意味のないこと、理解不能なこと、重要性が乏しい、どうでもいいことは、
    AIの範疇外だ。もちろん、人間は違うのであって何だか知らないが魅かれる、突然、
    雷に打たれたような衝撃を覚えるといったことが起こる人には10代のみならず、年を重
    ねてからも起こる。その時はわからなくてもそれが何であったのか数10年後にわかるよ
    うになったりするものだ。

     この15~20年、我々はITを使いこなしていこうとして実は自分自身がIT化、すなわち
    疑似サイバーパンクな状況に対応してきたように思う。
     この状況とサイバー資本主義経済とグローバル化の結果、どうなったかというと大学
    に文学部は不要という趨勢となった。理科系、実学万能主義といっていいのではない
    か。
     私の身の回りにも理科系人間は少なくなく、彼らはそれぞれ専門性の高い仕事をして
    いたりもするが、どうも読解力(リテラシー)に乏しい人が多い。
     読解力は文学作品や音楽、映画、アニメ、芸術作品についての素養、前頭前野を駆使
    したコミュニケーション力(⇒ 恋愛力)、及び経験(もっと言うなら失敗)でしか陶冶されな
    いと思うのです。

     「競争」とは比較劣位を引き上げることではなく比較優位をさらに強化することでなされ
    るべきことです。
     AI と人間の競争で人間のなすべきことは自ずと明かになろう。
     この10数年、及び現在も喧伝されている人間のAI化教育・修練ではなくて、AIの苦手
    な読解力の基礎となる人間力を徹底的に磨くことが、一見、遠回りのようでゴールである
    と私は考える。

  






      
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