素晴らしき放浪者の戯言

100年に1度の世界の大転換、50年に1度の日本の政権交代を見届けるブログです。 政治、経済、メディア、都市、映画etcの各分野を放浪しつつ 時たま核心に迫ります。

映画 「 スノーデン 」 vs B層(マスゴミ) 前編

    



    話題の映画、オリバー・ストーン監督「スノーデン」を観てきました。
    今回は映画云々(「でんでん」じゃありあません、笑い)ではなくて、この映画をインテリジ
   ェンスのテクストとして使いたい。
    ある意味邪道かもしれないが、御容赦願いたい。
 
                                 以下、ネタバレを含みます。   


    【お作法】

     映画「スノーデン」はエドワード・スノーデンへのインタビューに基づくフィクションです。
     完全なフィクションでもなければ実話(ドキュメンタリー)でもないということです。
     彼にまつわるドキュメンタリーの部分の舞台はCIAやNSAであり、インテリジェンスの
    世界だ。つまり、本作が実話に基づいたフィクションであってもどうしてもエスピオナージ
    (スパイ)小説、スパイ映画の色彩を帯びてくる。
     エスピオナージ(スパイ)小説、スパイ映画の「お作法」とは何だろうか?
     それは「ウソのような本当」と「本当のようなウソ」を織り交ぜて機微にふれるギリギリ
    まで攻めていっても読者、観客を撹乱して作者の身を守るということです。

     この「お作法」を知らずしてあそこが事実と違うとかほざく某映画評論家がいる。
     映画評論家曰く、

      スノーデンは諜報活動には従事していない。
      エピックシェルターを利用したドローンによる標的攻撃システムを開発していない。
      スノーデンのロシア亡命を手引きしたジュリアン・アサンジが描かれていない。
                        
                      - 出典 映画 「スノーデン」パンフ -


      
     この御仁は映画評論の専門家というスタンスでマスコミの一員だが、私に言わせれ
    ば、いわゆる「B層」と何ら変わらない。
     この「お作法」にのっとり本作を読み解くことが、インテリジェンスに資するばかりか、
    監督オリバー・ストーンの意図に主題論的に肉薄することになるのである。




    【売国奴か英雄か】

     映画の惹句のようだが、この視点は重要だ。
     仮にスノーデンが英雄であったとしても、何が何でもスノーデンを葬り去りたい米国
    当局は、「スノーデンは国家機密を盗んだ単なる売国奴」という汚名を着せることに躍
    起になるからだ。
     日本人の通話、メールが傍受されていることは、事情通なら既知のことだ。
     スノーデン以前にこれらを傍受していたエシュロンが時代遅れで“ 情報公開 ” され
    たことで多くの人が知ることになったのだが。(もちろん、“ 情報公開 ” とは皮肉で
    ジャーナリストとしてはすっぱ抜いたつもりなのだろう。)
     エシュロンより高度であろうPRISM等で全国民のみならず同盟国首脳までも盗聴
    監視していたことを暴露したいがためにスノーデンが国家機密を盗んだなら彼は単な
    る「売国奴」と言っていいだろう。
     多くのメディア、知識人等は「リーク情報」の外観をしているが、実際は「スノーデン
    =売国奴」と誘導する「疑似餌」に食いついてしまった。前出、映画評論家氏もその
    一人だろう。

     さて、それではオリバー・ストーンが仕掛けた暗号を「お作法」にのっとり読み解いて
    いこう。本作、一番のフィクションはスノーデンの上司として存在するオブライアンなる
    人物がそもそも存在しないということだ。仮にこの事実を知ったとしても、オブライアン
    のセリフ「盗聴、監視によって世界をテロや戦争から守ってきたんだ。(だからこれら
    行為は誇れるものではなくても正当なんだ)」、これが本作の肝であり同時に「JFK」、
    「ニクソン」、「ブッシュ」といった機微、いや地雷踏みかねない映画を撮り続け、現在
    も困難を伴いつつも取り続けているオリバー・ストーンの真骨頂だと思う。

     架空の人物、オブライアンを敢えて登場させ、米国民の多くが納得するだろうこの
    セリフを吐かせたらどうなるだろう。「ふ~ん、架空の人物なんだ。でも言っていること
    はごもっともだよね。」とスルーするだろう。
     これこそ「本当のようなウソ」であり、そのことに気づいたからこそスノーデンは「売
    国奴」と言われようとも「国家機密」を大量に持ち出したのだと考える。
     これは部分的には既に指摘されていることであって、これら盗聴、監視によって集め
    られた情報はグローバル企業の商売のための「ビッグデータ」?になっているのでは
    ないかと言われている。
     その程度のことでスノーデンは「売国奴」と呼ばれる行為をしない。
     このセリフが事実と全く逆だったらどうだろう。
     テロ・戦争回避どころか戦争を仕掛けるために使われているとしたら、それも第3次
    世界大戦を仕掛けるために使われているとしたら、例え「売国奴」の汚名を着せられて
    もスノーデンは暴露を決意すると思う。

                               (つづく)






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