素晴らしき放浪者の戯言

100年に1度の世界の大転換、50年に1度の日本の政権交代を見届けるブログです。 政治、経済、メディア、都市、映画etcの各分野を放浪しつつ 時たま核心に迫ります。

グローバルか!内向きか!(前編)

   



     少し前、ザッピングしていたら、NHK教育で猪口孝教授が、

    「昨今の日本は、まるで自発的に鎖国に向かっているようだ」

   という趣旨の問題提起を、一席ぶっていた。
   
   猪口孝?と言われる方には、小泉チルドレンの猪口邦子女史のダンナといえばとおりがい
  いだろうか?
   猪口センセイは、「昔は、生産拠点を海外に移した場合、労働者は現地人、管理職は
  日本人というパターンが多かったが、今や管理職も現地人の方が合理的」になりはじめて
  いるという。さらに、日本での雇用も外国人は母国語の他もう一つくらいの言語は普通で
  その上日本語も話せるようになっている。英語もまともに話せない日本人を雇うより、彼ら
  を雇用した方がいいとかナントカ。

   ナルホド、至極ごもっともなご意見であります。
   このままでは世界で、グローバルに仕事するビジネスマンは育たない。
   ひいては日本は世界からとり残され「ガラパゴス」と化す。
   そこまでは踏み込んでいなかったかもしれないが、要するにそういう論旨だった。
   確かにハーバード大学等、海外へ留学する学生は、近年、激減しているようであります。
   若い衆が「内向き」なのは間違いのないことでしょう。
   同氏は、「日本人よ!海外へ出ろ!」と約30年言い続けてきたそうです。
   逆にいうと、日本人の「内向き」は今に始まったことではなく、海外留学、洋行が今より
  盛んだった頃から、結局、日本人は「内向き」だったということであります。
   これらは90年代から「日本人の閉鎖性」と村上龍氏が指摘し、柄谷行人氏も「外部」が
  云々と哲学的表現ではありますが、同様の見解を述べておりました。
   そんな「内向き」≒「閉鎖的」な日本人に対して、「このままでは世界から取り残される」
  と喧伝したのは猪口先生ばかりではないのです。

   昔は「国際化」(インターナショナル)と言い、昨今は「グローバル」とフレーズが変わっ
  ただけで、延々と同語反復されたにもかかわらず、日本は「内向き」(閉鎖的)であったわ
  けであります。
   この論点は、もっと歴史のあることでありまして、佐伯啓思先生のよれば、経済学的には
  アダム・スミスの重要主義まで遡るのであります。さも、新しげな「グローバル」なんての
  は、アダム・スミスの時代からの論点というわけです。もっともテクノロジーの発展によって
  「規模」と「スピード」と「影響力」が昔とは比較にならない。
   要するに「グローバル」の時代、対象となるのはまさに「Globe」(地球)であります。
   ひらたく言うと、グーグルが対象とする範囲と照応するでしょう。すなわち、ストリート
  ビューはもちろん、地中も海底も空中も果ては成層圏外までを対象とするのであって、アダ
  ム・スミスの時代とは比べ物にならない。



アダム・スミス
単なる経済学史の本というよりも
示唆に富んでおります。


   そんな時代、日本は「鎖国」(内向き)でいいのか?
   一見、実に鋭くえぐった問題提起であります。
   でも、グローバリズムの権化のようなアメリカでさえ、一般ピープルレベルでは、近年、
  「Tea Party」の台頭に見られるように「内向き」に舵をきりつつあるように思います。
   アメリカにおける「モンロー主義」の復活の可能性について大勲位閣下がどこかでコメ
  ントしておりましたな~。

   「このままでは世界からとり残される」は、昔は「欧米に追いつけ追い越せ」でしたが、
  明治以降、我々日本人は耳にタコができるほど聞かされてきたフレーズであります。
   洋行したセンセイ方にお叱りの言葉を頂戴しても、のらりくらりとして相変わらず、
  日本は基本的に「鎖国」したままでした。だから、日本はダメなのだと少し前の村上龍氏
  なら言ったかもしれません。(今はどうがか知りませんが・・・)
   でも、デフォルトしたがゆえに、いち早く「グローバリズム」(アメリカニズム)に
  組み込まれ、「選択と集中」を徹底し、サムスン、LGらの企業が日本企業を凌駕して
  いる韓国は「すごい、すばらしい」と手放しで称賛する気にはどうしてもならないのです。

   「選択と集中」の光ばかりに目がいきがちですが、光が輝くほど影は色濃いのですから。
  
                             (つづく)




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