素晴らしき放浪者の戯言

100年に1度の世界の大転換、50年に1度の日本の政権交代を見届けるブログです。 政治、経済、メディア、都市、映画etcの各分野を放浪しつつ 時たま核心に迫ります。

ゴダール 「ソシアリスム」 VOL.4(その2)

    


   ゴダールは、1968年「5月革命」でパリが真っ赤に燃え盛っていた時、カンヌ映画祭に盟
  友・トリュフォーと共に乗り込み、
  「学生と労働者が闘っている時に映画祭なんかやりやがって!やめちまえ!」
  と映画祭事務局に迫っています。―― 真っ赤なゴダール ――

   ところが、同年、「ワンプラスワン」では「社会の変革 CIA」として、この時はまだ、誰
  の知らない来るべき70年代の「社会の変革」を仕掛けられたものであると既に見切ってい
  ます。
   というのはやや誇張で、実際は北野武監督「Takeshi’s」か「監督バンザイ」か記憶が定か
  でありませんが、背景の壁に落書きのように「オイラーの定理」が書かれていたように描か
  れていただけです。誰もがジャンクとして記憶にとどめないでしょう。
   
   繰り返しますが、彼は「連立しない微分方程式」で韜晦(とうかい)すると同時に、あきれ
  るほどベタなフレーズを矢のように直截的に放ってきます。この点を忘れてはいけません。

   「5月革命」の起きた1968年、カンヌ映画祭での「真っ赤なゴダール」と
  「社会の変革 CIA」と落書きしたゴダールがとても同一人物とは思えません。
   「ゴダールが教えてくれた」 で述べたように、彼は「早すぎる」し、「速すぎる」のです。
   「早すぎて」「速すぎる」男・ゴダールというよりも、「知り過ぎた男・ゴダール」と考えた
  方がいいでしょう。

   「知り過ぎた男」は沈黙するのが処世術ですが、ゴダールは表現者ですから言わずにい
  られない。危ない橋を渡るわけにはいかないので、ゴダール流「韜晦と直截」で煙にまく
  のです。

   
    
   前回の続きに戻ると、金塊が消えたのは「ゴダールの創作」だとされていますが、彼が単
  なるアカデミズムを超えて「知り過ぎた男」であることが、「社会の変革 CIA」でわか
  ると思います。 アカデミズムを超えて「知り過ぎる」とは諜報(インテリジェンス)の
  世界も視野に入れなければなりません。

   インテリジェンスの世界を垣間見た高橋五郎氏は、日本軍がアジア各国から略奪した莫
  大な金(きん)、財宝がフィリピンの175の坑道に今も封印されていると言います。
   小野田さんがフィリピンに派遣されたのはこの金を守るためだとも囁かれています。
   この金(きん)こそは戦後日本復興に一役買い、霞が関埋蔵金とはこの金の運用益だと同
  氏は述べます。

   高橋氏やベンさんによれば、「リアルな戦争」とは実は、金(きん)、財宝、資源の
  略奪であり、我々が知る、イデオロギーだ、愛国心云々の戦争は「リアルな戦争」を
  隠すための「かりそめの戦争」だと説明されます。換言するなら、世界史上の事件
  とは金(きん)、財宝、資源等の奪い合いのため起こっているといっても過言でない
  でしょう。


   ここまで語ればもうおわかりと思います。
   スペインからソ連に搬出された際の金(きん)消失は、おそらく世界最高権力者の手下の
  仕業であり、スペイン内戦という「かりそめの戦争」に隠された「リアルな戦争」とは、
  スペイン銀行からの金の略奪だったと思います。
   因みに「W I K I」によると、当時スペイン銀行が保有する金(きん)は約710トンで
  当時世界第3位と推定されている。このうち、約510トンがソ連に搬出され、ソ連の金横
  領説は囁かれているもの、詳細は不明ということになっている。
   「W I K I」はアカデミズム中心、インテリジェンスの世界は受つけないからね。

   アカデミズムでは無視されても、ゴダールはこの「リアルな戦争」についてある程度、
  知っていたと思います。


             天皇の金塊


    フォンテス  最初の3分の1に関しては、私なりの考えがある。最後の3分の1について
             は、共産主義の記録文書を深く掘り返す必要があるだろう。
            (不意に画面に入ってオルガに近づいて)ヴィリー・ミュンツェンベルクだよ。



   ヴィリー・ミュンツェンベルクについはシナリオ採録氏はこう説明する。
  
    20年代から30年代にかけて、ドイツを中心にヨーロッパで辣腕をふるった共産党
    の宣伝家で、さまざまな反ファシスト運動の編成に力を発揮し、スペイン内戦中の
    国際旅団への志願兵の募集にも一役買った人物

              ~ 引用「ソシアリスム」パンフ ~


   ここで注意しなければならないのは、「共産党 vs ファシスト政権」という20世紀的
  な思考であります。「冷戦構造のインチキ」同様、この対立も詐術であったと私はみてい
  ます。「共産党」も「ファシスト政権」も結局は「全体主義」です。「冷戦構造」とやらも
  21世紀的みれば、「全体主義 VS 民主主義」とした方がいい。
   そうすると、「共産党 vs ファシスト政権」はやはりまやかしに見えてきます。
   でも、共産党(コミンテルン)は、スペイン内戦で共和軍を支援してファシスト・フランコ
  と戦ったではないか?
   それでは、ヴィリー・ミュンツェンベルクに関する別の記述を引用しよう。
   (ここでは、「ヴィリー」でなく「ウィリー」となっている。)
   
   (前略)タヴィストックのエドワード・バーネイズ(ジグムント・フロイトと表裏の
    ある甥)とクルト・レヴィンのふたりほど、世界の政治や出来事に影響を与えた
    人物はいない。だが、ここに「第三の男」を加えるべきである。
    タヴィストックに所属はしていなかったが、ウィリー・ミュンツェンベルクを
    取り上げたい。現代マスコミに果たしたプロパンガンダの手法と応用が絶大だった
    ために、ミュンツェンベルクは「世界一のプロパガンダ伝道者」の異名をとった。
    (第一次大戦前に活動を始めた)当代きってのプロパガンダ仕掛け人ミュンツェン
    ベルクが、ロマノフ王朝打倒直後のボルシェビキを骨抜きにする役割を担っていた
    のは間違いない。
    ミュンツェンベルクはバーネイズやレヴィンが実行した手法を厳密に定型化した。 

       ~ J・コールマン著 太田龍訳 「タヴィストック洗脳研究所」~


   
   ミュンツェンベルクはタヴィストックに所属していなかったのに何故、タヴィストック
  の頭脳、エドワード・バーネイズやクルト・レヴィンの方法論を実践できたのでしょうか?
   それらの方法論は秘匿されていたと思われるのだが。
   ミュンツェンベルクが彼らと通じていたと推論するのが妥当でしょう。

   アメリカを中心に資本主義陣営を宣伝、洗脳で操ってきたのがタヴィストック、
   ミュンツェンベルクを介して共産(社会)主義陣営を操ってきたのもタヴィストック、
  そういうことになるかと思います。

   これが資本の流れ以外の観点から見た「冷戦構造のインチキ」であります。
   例によって「両建て ≒ 二重人格」的な彼らの思考からすれば、共産党を介して共和軍
  に肩入れするフリしてスペインの金(きん)を略奪したんだと思います。

   その下手人こそミュンツェンベルクだとゴダールは言いたいのでしょう。

   やはりゴダールは「知り過ぎた男」なのです。
                         
                            (つづく)



 
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