素晴らしき放浪者の戯言

100年に1度の世界の大転換、50年に1度の日本の政権交代を見届けるブログです。 政治、経済、メディア、都市、映画etcの各分野を放浪しつつ 時たま核心に迫ります。

ゴダール 「ソシアリスム」 VOL.4(その3)

   



   「リアルな戦争」とは金(きん)、財宝等の略奪であると述べました。
   ソ連によるスペイン銀行の金略奪について内実を知るらしいゴダールは、世界史における
  「リアルな戦争」を承知している「知り過ぎた男」と仮定されよう。
   彼はスーダンの金(きん)についてこんなナレーションを入れている。

    (前略)だが、その黄金が、何世紀にもわたって、西方イスラムの決定的
     な武器の一つをなすことになったことは、あまり理解されていない。
      
             ~ 「ソシアリスム」パンフ ~


   この発言は金(きん)をめぐって展開された地中海史(≒世界史)こそ、真の「歴史」で
  あると言いたげであり、先の仮定は「所与の前提」と認められるだろう。
   「知り過ぎた男・ゴダール」を前提として、彼の放つ言葉の矢を受け止めてみよう。

    ① エイズは大陸の黒人撲滅の道具にすぎないのよ。
 
    ② 税金天国(タックスヘブン)が廃止になったんです。どうします?
      地獄に行くことになるでしょうな。

    ③ 今や悪い奴らが真剣だ。

    ④ 光はなぜある?闇があるから。
 

                   ~ 引用 同上 ~


   ここだけ取り出せば、まるでベンさんの講演を書き出しているように思えてくる。
   特に①などは「知り過ぎた男・ゴダール」を如実に挙証するものであり、私の仮説
  「社会の変革 CIA」はいよいよ間違いないと思えてくる。
   もっともゴダール訓古学に熱中したり、ソニマージュ等編集学的陶酔に埋没し、
 「知り過ぎた男・ゴダール」に無自覚なら、これらもジャンクとして右から左だろう。



   地中海史(≒世界史)をエジプト、ギリシア、パレスチナ、オデッサ、ナポリと巡るわけ
  だが、別に歴史の再検証が本旨ではない。「第2楽章、どこへ行くヨーロッパ」、「第3楽章
  われら人類」としてうえで、孫娘のようなアリッサに呼びかけて本編は終わるのだから、
  当然、ゴダールの最大関心事は現在、「21世紀」であろう。
   「知り過ぎた男・ゴダール」は「21世紀」に何を観ているのだろうか?
   これまた、あきれるほどベタに語っている。

   スターリン、ヒトラー。終わっていない。

   スターリン(共産主義)、ヒトラー(ファシズム)共に全体主義とゴダールは捉えており、
  一見対立するようで、両者は対立するものでないことを理解している。
   「ヒトラーが終わっていない?」と思われる方もおられるだろうが、当ブログの「知り過ぎた
  読者」なら、今のアメリカが「隠れナチス」だということを承知しておられるだろう。
   おそらく「冷戦構造のインチキ」も承知しているはずのゴダールなら、共産(社会)主義は
  終わっておらず、「未来の共産主義」を承知しているように思える。
   「FILM SOCIALISME(ソシアリスム)」は映像についての社会主義と説明され論評さ
  れる。
   本当だろうか?「お金は公共財産だ」として始まり、金(きん)についてミステリーが語られ
  ラストにもコインを撮影するアリッサのカットが映し出される。
   どうも意地悪ゴダールじいさんに一杯くわされたような気もする・・・。

   

   ベラスコに関する本を読んでから、私はどうも「スペイン内戦⇒フランコ独裁のスペイン」
  こそ20世紀、ヨーロッパを語るうえで重要に思えてならないのです。ファシストというと
  我々、日本人には何と言ってもナチス・ドイツであり、ムッソリーニ・イタリアは少々で
  フランコ・スペインになるとどうも影が薄い。
   他のファシスト国家と違い、フランコ独裁政権は戦後の1975年まで続いた。
   この点を我々は軽視し過ぎていないか?20世紀的には、ヨーロッパといえばイギリス、
  フランス、ドイツ、イタリアあたりで「スペイン?」くらいであったかもしれないが、
  21世紀現在から「20世紀ヨーロッパ」を鳥瞰するなら、
  「スペイン内戦⇒フランコ独裁のスペイン」こそ重要に思われる。


   極東の我々と違い、「地中海こそ世界である」と思っている、すなわちヨーロッパの真髄
  を知るゴダールにとって、戦後も75年まで続いたフランコ独裁のスペインこそ重要らしい。
   なぜなら、21世紀を見据えて彼はこう叫んでいることから、そう推論するのが当然で
  しょう。

    スターリン、ヒトラー。終わっていない。

   
             フランコ
             晩年のフランコ、いかにも悪そうだね。

          

   地中海をめぐる航路、すなわち映画「ソシアリスム」はバルセロナで終盤を向かえる。
   
    男の声 (オフ)闘牛場でのコリーダ。         
          誰もがそこにいた、ヘミングウェイ、ドス・パソス、オーウェル。
          その後、闘牛での処刑を見てから闘牛士と観客たちは前線に向けて
          出発した。
 
               ~ 引用 同上 ~


   「アリッサ!」という呼びかけと共に「FBI WARNIG」という警告画面から「法が正し
  くないときには、正義が法に優る」という実にベタな文字へとディゾルブして本編は
  終わる。
   引用だらけのゴダールが「FBIの著作権侵害」の警告画面をインサートするのは
  パロディアスなアイロニーだが、それだけか?
   私にはこう思えるのだ。

    スターリン、ヒトラー。終わっていない。
               
      FBI 「WARNING」
  
   全体主義は恐怖と宣伝によって推進されるのだが、具体的には法律によって統治される
  ことを承知していれば、続く「法が正しく~」もすんなり腑に落ちる。
   
    ○ コンプライアンス

    ○ 愛国者法
  
    ○ リアルID法

    ○ 食品安全近代化法

     (さらに日本で昨今とりざたされている)

    ○ コンピューター監視法

   これらをインサートして、もう一度先程のフレーズを入れ込むとしっくりする。

   「法が正しくないときには、正義が法に優る」



   これだけベタに語りかけていても「知り過ぎた男・ゴダール」を認知していなければ、
  観客たちは村上春樹「1Q84」の「1984年」の世界の住人(ビッグブラザーに出る幕は
  ない)なのである。でも、ゴダールは「1Q84」の世界の住人(ビッグブラザーはあなたを
  見ている)なのである。

   また、ゴダールが教えてくれた?!

   いや、ゴダールがダメ押しをしてくれました。

                       (了)







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