素晴らしき放浪者の戯言

100年に1度の世界の大転換、50年に1度の日本の政権交代を見届けるブログです。 政治、経済、メディア、都市、映画etcの各分野を放浪しつつ 時たま核心に迫ります。

「砦なき者」から先へ(前編)



   テレビの脚本家をしっかり認識しているTV視聴者はどんどん減っており果たしてどれくら
  いいるだろうか?
   今や、TVドラマは人気原作、役者いやタレント、企画だのみで視聴率を稼ごうという世の
  中であります。ニワトリが先か卵が先かは知らないが、これでは視聴者のTVドラマ離れは
  加速していくだろう。90年代も半ば過ぎまでは、TV完全に邦画を凌駕していたが、少し
  前から状況は逆転していると思う。

   そんな邦画ドン底時代から映画、TV界で戦い続け、2004年、自ら命を絶った
  小説家・脚本家、野沢 尚のことが忘れられない。

   そんなこと言ってもピンとこない方は今年も放送される「坂の上の雲」の脚本家と言った方
  がとおりがいいだろか。脚色としての遺作が「坂の上の雲」なら、オリジナル脚本の遺作は、
  「砦なき者」であります。(原作小説も野沢 尚)
   
   このTVドラマの視聴率は9.0%と全く振るわなかった。
   それもそのハズで、視聴者にとって耳の痛いことばかり突きつけてくるからです。
   もっとも、あたかも視聴者に罵声を浴びせるがごとくのセリフを吐き、同じく低視聴率で打
  ち切り寸前だったにもかかわらず、多くの若者にシナリオライターを志させた
  「早春スケッチブック」というドラマもあります。

   昔は「視聴率が悪くても良質」というTVがありましたが、今や視聴率も悪くお粗末きわま  
  りないときているのですから、どうしようもない。

   送り手と受け手の怠惰な共犯関係 ―― これが「砦なき者」のテーマであります。

   
   「砦なき者」主な出演者

    ○ 長坂 文雄(ながさか ふみお)・・・・・役所広司
      (首都テレビニュース番組「ナイン・トゥ・テン」キャスター)

    ○ 八尋 樹一郎(やひろ きいちろう)・・・妻夫木聡
      (自殺した古谷めい子の恋人)

    ○ 逢沢 瑤子(あいざわ ようこ)・・・・・・鈴木京香
      (首都テレビニュース番組「ナイン・トゥ・テン」ディレクター)

    ○ 倉科 研司(くらしな けんじ)・・・・・・内野聖陽
      (首都テレビ報道局専任部長)

    ○ 進藤 安弘(しんどう やすひろ)・・・・六平直政
      (少女売春に関系者)

    ○ 古谷 めい子(ふるや めいこ)・・・・・真木よう子
      (女子高校生、のちに自殺)

    ○ 森島 一朗(もりしま いちろう)・・・・近藤芳正
      (首都テレビチーフプロデューサー)

    このドラマはテレビの報道番組の制作現場が舞台であります。
   低視聴率だったのは、視聴者にとって耳が痛いセリフばかり吐いていたからだけではな
  く、このドラマが「メディア論」だったからであります。
   そんなもの視聴者は興味ない!TV番組のバックステージをおもしろおかしく、恋愛を
  交えて観たい?そんなところでしょう。
   でも、私にはたいそう面白いドラマであります。
   確かに7年前であり、今観るとズレているところもないわけではありませんが、今も、
  いや今後もさけて通れない問題提起を含んでいるのです。


   八尋 樹一郎(妻夫木聡)が壁一面TVモニターだらけの部屋で「甦る金狼」の朝倉哲也
  よろしくマシントレーニングしている様は、やはりズレているいえるでしょう。
   今時、そんなに熱心にTVを観ている視聴者はいないだろう。TV画面の代わりにPC
  の液晶画面並べて株、FXのトレーダーやっている人ならいるでしょうが。
   さらに、TVの制作現場にあのような熱気があるようには思えない。

   今や、その熱気があるとしたら、ブログやツイッター、Facebook等のネットにおいてだ
  ろう。
   それではネットは「砦なき者」から先へ進んでいるかというとそうとも言い切れ
  ない。本作が提示したものと同様の危うさを内包している。


                           (つづく)  

 


砦なき者
  演出・鶴橋康夫と野沢 尚は名コンビ。
 






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