素晴らしき放浪者の戯言

100年に1度の世界の大転換、50年に1度の日本の政権交代を見届けるブログです。 政治、経済、メディア、都市、映画etcの各分野を放浪しつつ 時たま核心に迫ります。

ゴダールが教えてくれた VOL.7(その1)



                       はじめからずっと知っていたような♪
                       そんな気がする あなたが好きです♪

                        -「河のほとりに」作詞・作曲 谷山浩子ー


 さて、ようやくゴダールに帰ってきた(笑い)。
「社会の変革 CIA」―――たった一行、いや、二つのフレーズから随分と
ふくらんでしまったような気がするが、逆に言うとだいぶはしょったにせよ、
このフレーズにはこれまで述べてきたような事が凝縮されている。

  とは言え、ゴダールの映画はそんなに生真面目な代物ではなく、一見、
ひたすらやりたい放題やっている。
 文字やスローガン、ナレーションと夥しい言葉の洪水が押し寄せるの
ですが、意味があるようで実はその場限りの「連立しない方程式」の
オンパレードです。でも、いわばジャンクだらけの言葉の羅列の中に
40年後の今日を見切ったように「社会の変革 CIA」と提示されると、
私は戦慄を覚える。

  ジャンクな言葉のベクトルが「→」とすると、この言葉は「⇒」くらいの強度
がある。いや~、そもそもお前(私)の考えすぎだよ、思い違いだよ、と
思われるかもしれないが、こんなフレーズも挿入される。
「ロック~将軍、貧乏人皆殺し作戦ですか?」

  「社会の変革 CIA」のうち、CIAはたぶんゴダールの間違いで正確には
ダヴィストックだろう。でも、いくら何でもゴダール早過ぎるし、速過ぎるのだ。
  私が知る限り、始めて「ダヴィストック」について英語の本が刊行されたのが
1969年です。(この映画の1年後です。)和訳本で軽く扱われたのが、
90年代初頭、「ダヴィストック」そのものについての英語本は90年代後半、
和訳本は21世紀まで待たなくてはならない。ゴダールは早過ぎるのだ。

  また、この年1968年は「パリ5月革命」の年であり、学生運動が最高潮に
盛り上がった。今じゃ、考えられないことだけど、ゴダールが盟友・トリュフォー
と共にカンヌ映画祭に乗り込んで、「学生と労働者が闘っている時に映画祭
なんかやって浮かれている場合か!やめちまえ!」と詰め寄っている。
(結局、「カンヌ映画祭」は中断を余儀なくされ、コンペ部門の受賞作なし
 という事態に追い込まれる)

  そんな「真っ赤」に燃え上がっていた人が、同じ年に「社会の変革 CIA」と
醒めきった言うだろうか?「転向」というには、あまりに速過ぎる。
  いや、その後も左翼的言説の映画を作っているわけであり、ゴダールは
この時点で「転向」したわけじゃない。

  確かにゴダールは桁外れに頭のいい人であり、桁外れに「先へ行っちゃった」
人だろう。
来日した際、村上龍氏がインタビューしたのだが、直観にまかせて
さぞ、場当たり的に演出していると思いきや、逐一あまりに理路整然と解説
されて村上氏はまるで数学者と話しているような錯覚にとらわれたのと同時に
自分がバカに思えてひどく落ち込んだという。
  また、70年くらい、これから「映像主義の時代」が始まろうとする時に、
「映像主義の時代」の終焉と発言しているのだから、桁外れに「先へ行っちゃった」
人だろう。

 それにしてもゴダールは早すぎるのだ。
 これから「社会の変革」が始まろうとする時に、「社会の変革 CIA」と言っちゃった
のだから。
(この時点では、さすがのゴダールも「ダヴィストック」は知らなかったのだろう)

  何でそんな離れ業が可能なのだろうか?
  ゴダールも「ヘビ族」の一員なのかもしれない。
                             
                              (「その2」につづく)




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