素晴らしき放浪者の戯言

100年に1度の世界の大転換、50年に1度の日本の政権交代を見届けるブログです。 政治、経済、メディア、都市、映画etcの各分野を放浪しつつ 時たま核心に迫ります。

TPPはリトマス試験紙 VOL.2

   



   さて、TPPそのものについては既に中野剛志氏をはじめ多くの論客が論じていることか
  ら、今回は割愛することにして、「過去」及び「未来」からのアプローチでTPPについて
  考察しよう。

   まず、過去からのアプローチとしては、今回のTPPの最大のターゲットが「かんぽ」で
  あるということに端的なようにTPPは「郵政民営化」とダイレクトにつながると言えよう。
   「郵政民営化」をいまだに民営化することによる事業の効率化などと考えている輩がいる
  が、もちろんの真の狙いは「ゆうちょマネー」であったことは論を待たない、とTPP24
  項目を検証すればわかるだろう。
  ~ 「郵政民営化」時点からの未来、すなわち現在時点からみた「郵政民営化」の考察 ~

   ただ、「郵政民営化」だと「儲かる儲からない」、すなわち市場主義に還元されて、
  事態が矮小化される。(郵政民営化とBIS規制を絡めた“国債暴落スキーム”もある
  のだが、私は今や日本の財政に関して悲観していないので割愛します)

   「郵政民営化」は金融に関することだが、「年次改革要望書」は24項目よろしく
  多岐にわたっている。~ 「儲かる儲からない」のレベルだけでは語れない ~

    【人材派遣の自由化】

     1996年、アメリカは人材派遣に自由化を求めた。
     3年後、1999年、日本政府は労働者派遣事業法を改正して派遣労働を
     原則自由化した。
     2004年には、製造業への派遣労働も解禁された。
     経営者にとっては都合いいかもしれないが、「下流」と言われる人々が
     生まれたことは周知のとおりです。

    【大規模小売店舗法の廃止】

     「自由な小売活動を規制している」と主張するアメリカは、1997年
     に大店法の廃止を要求した。またもや3年後の2000年に大店法を
     廃止し、代わりに大店立地法を制定した。
     「シャッター商店街」の加速に一役かっていることは言うまでもない。
     TPPなら「自由な小売活動を規制している」の代わりに「参入障壁」だ
     と連呼されることになるだろう。

   
    【郵政民営化】

     2003年の「年次改改革要望書」で「郵便金融機関と民間競合会社
     の公正な競争確保」という名目で提言される。
     2004年の「要望書」でも「郵政民営化」は要求される。
     同年9月1日、日米首脳会談で小泉はブッシュに「郵政民営化」の進捗
     状況を訊ねられる。翌2005年、9月11日、何が行われたかは説明
     するまでもないだろう。
     今回のTPPで言えば、先日の野田・オバマ会談がこれに該当するだろう。
     でも、TPPは郵政民営化より強引だね。

   その他、「要望書」には「建築基準法の改正」、「電気通信」、「医療・医薬品」
  「競争政策」、「透明性および他の政府慣行」、「法務制度改革」、「商法」等
  様々な項目が「要望」というかたちで盛り込まれている。 

   もはや多くの官僚が抵抗する意思などなく、粛々と「売国政策」を進めている!?
   厳密にいえば、今まではあくまで米国の対日要求に過ぎない。つまり、「前向きに善処
  します」(≒時間かせいで何もしない)でもいいわけです。それでも、次々と政策化法制化
  してくれのだから、米国にしたら随分とらくちんであります。
   しかし、TPPは「要望」ではなく「協定(条約)」です。
   より過激な内容が「努力目標」ではなくて「履行義務」になってしまうわけだ。
   
   何でこんなことになってしまったかは簡単には要約できないが、そもそも政治家も官僚も
  国民もマスゴミも日本は「改革」が必要で、グローバルスタンダードに合わせなければいけ
  ないと思い込んでいたことが挙げられるだろう。さらに遡れば、「前川レポート」で指摘
  された日本の内需不足、特殊性を「改革」しないといけないと政治家も官僚も信じ込んで
  いただろう。
   すなわち、日本の「構造」を「改革」しなければいけないと。
   それは、やがて「日米構造協議」に発展していくだろう。
   今から10数年前、何も知らなかった私も「改革教」の信者だった。
   現在は散々批判している「地域主権」も早く推進すべしと考えていた。
   詳述するスペースはないが、当時は「構造改革」なるフレーズが少し前の「郵政民営化」
  同様、マジックワードとして流布していた。
   今にして思えば、世界標準で日本はいい意味でも悪い意味でもどこまでいっても
  特殊な国であり、それが日本であると開き直ってしまってはいけないが、
  この「特殊性」こそ21世紀現在、日本の武器であると確信している。

   かの国の御都合のいいように日本の「構造」を「改革」する必要などない、そう言い
  切れる。いやいや、そんな守旧な態度ではイカンと言われる方もおられるだろうが、
  実際、この時期行われた「改革」とやらは、かの国の御都合どころのことではない
  のだ。

   今一度、宇沢弘文先生に語って頂こう。
   
    日米構造協議の核心は、日本にGDPの1%を公共投資に当てろという要求でした。
    しかもその公共投資は決して日本経済の生産性を上げるために使ってはいけない、
    全く無駄なことに使えという信じられない要求でした。それを受けて、海部政権の
    下で、10年間で430兆円の公共投資が、日本経済の生産性を高めないような形
    で実行に移されることになったわけです。その後、アメリカから、それでは不十分
    だという強い要求が出て、1994年にはさらに200兆円を追加して、最終的に
    は630兆円の公共投資を経済生産性を高めないように行うことを政府として公的
    に約束したのです。まさに、日本の植民地化を象徴するものです。

    ~ 宇沢弘文 内橋克人 共著 「始まっている未来 ― 新しい経済学は可能か」 ~


   昨今、日本の財政危機が叫ばれているが、そもそもなぜこんなも借金するようになった
  かというと、宇沢先生曰くのように「600兆円ドブに捨てた」からです。
   これのどこが「改革」なのでしょうか?
   アメリカの求めた「構造改革」のため、我々は財政難にあえいでいると言って差しつ
  かえないのです。
   これら630兆円の多くが財政節度を守ると言う理由で地方公共団体に押しつけられた。
   財源確保のため地方債を発行し、その利息の返済を地方交付税交付金でカバーするこ
  とになりました。
   小泉内閣では「三位一体の改革」と称して地方交付税交付金を大幅に削減しました。
   (そうするように米国に要求されたのだろう)財政規律を守る首相の英断、素晴らしい
  「改革」と思った人もいたでしょう。前段に無知でこの一点だけみればそうとも思えます。
   当然、地方公共団体が第三セクターでつくったものの多くは不良債権化して、日本の
  地方公共団体は財政危機に見舞われる。

   地方公共団体がにっちもさっちもいかなくなる頃に、地域主権でいよいよ国は知らん
  ぷりぷり。早期財政再建団体となり、公共サービスの民営化(プライバタイゼーション)  
 するしかなくなる。その頃にはTPPで外資にも公共事業の門戸が開かれているでしょう。
  より苛烈な植民地支配まであとわずかとなるのです。
  
   一見、国産の製糸でタテ糸ヨコ糸編んで「日の丸」つくっているつもり、すなわち、
  その時点では日本にとってよき「改革」のようでも、編み上がる頃には「星条旗」に
  なっているという仕組みです。   
    
   関心している場合ではないのですが、ハリウッドのシナリオライターが何人かで合作
  しているかのような見事な「絵」(=シナリオ)です。

   このような「日米構造協議」、「年次改革要望書」、「郵政民営化」の延長線上に
  今回のTPPがあるとことを肝に銘じておかないといけないでしょう。

 
   次回は、「地域主権」、「超帝国」といった「未来」からのTPPについて述べます。
 
           (つづく)










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