素晴らしき放浪者の戯言

100年に1度の世界の大転換、50年に1度の日本の政権交代を見届けるブログです。 政治、経済、メディア、都市、映画etcの各分野を放浪しつつ 時たま核心に迫ります。

作られた 「 伝説 」 、R・キャパの場合 後編

   



   世間的にはどうでもいいことだろうが、20世紀写真史に残る写真の作者が別人だとなると
  これは大問題です。
   (もっとも作者が誰であろうと、銃殺されたのではなくスッ転んだだけだろうと、この写真が
    傑作であるとには違いないと思う。) 

   ロバート・キャパの本名はフリードマン・エンドレ・エルネーです。
   番組では貧乏カメラマン、フリードマンとゲルダが二人で「ロバートキャパ」という架空の作
  者を作ったと説明される。二人で一人の作者か、よくTVミステリーであるパターンですな。
   雑誌「LIFE」に「崩れ落ちる兵士」が掲載される直前にゲルダは戦場で死んでいる。
   キャパは自分を売り込みたい一心でゲルダ作のこの写真を「LIFE」に掲載させたのか?
   どうもそうとは思えない。キャパは自身の初写真集にはこの写真を掲載していない。
   
   結果としてピカソの「ゲルニカ」と共にR・キャパ「崩れ落ちる兵士」はスペイン内戦を代表
  するアイコンとなって今日に至っている。
   ゲルダの弔い合戦として「崩れ落ちる兵士」をキャパが売りこんだと考えても、演習の写真
  を、銃殺された兵士ではなくずっこけた民兵の写真を持ち込むとはキャパもたいしたタマ
  だ、インチキ野郎だ。でも、そう考えるのは間違いのようだ。
   そこまで開き直るなら自己の処女写真集にもちゃっかり「崩れ落ちる兵士」を掲載するは
  ずだ。考えられるのは「LIFE」がよく調べもせずに「崩れ落ちる兵士」を掲載した、すなわち
  チョンボだったか、はたまたあまりに写真の出来が良かったことからすべて承知のうえで敢
  えて掲載したか、このどちらかだ。
   いずれにせよ、「崩れ落ちる兵士」はキャパの預かり知らぬところで一人歩きして
  しまった。


  
   「崩れ落ちる兵士」の舞台となるスペイン内戦は欧米の人々にとってはよく知られたこ
  とだ。 
   多くの民間義勇兵が馳せ参じたことでも有名だ。
         
      誰もがそこにいた、ヘミングウェイ、ドス・パソス、オーウェル。
      その後、闘牛での処刑を見てから闘牛士と観客たちは前線に向けて
      出発した。
             ~ ゴダール 「ソシアリスム」 



   アジアではスペイン内戦はどうも影が薄い。
   ソ連共産党の支援を受けた共和軍とナチスの援護を受けたフランコ反乱軍の闘い!?
   相当共にロクでもないようです。

    この状況をわかりやすく言えば、右翼の人々は左翼を共産主義者として非難し、
    左翼の人々は右翼の人々をファシストと非難したということだ。
    拷問、性器切断、レイプ、何千という罪のない人々の処刑と残忍きわまりない
    行為が、お定まりの恐怖支配の一環として、共産主義者によって行われ、フラ
    ンコ将軍の側の一部過激派も同じような行動に出た。

             ~ ウイリアム・G・カー 著 「闇の世界史」 ~

    

   ソ連共産党とナチスの代理戦争とか言われるが、そう考えている限り何もわからない。
   イデオロギーとかでだまされちゃいけない、どっちも「全体主義」であることには変わり
  ないのだから。
   
    スペイン内戦にあっては、当時流されたプロパガンダによって、スペインの将軍
    の小集団が共和制支持の人民戦線政府を倒し、軍事独裁政権を確立しようと
    蜂起したと、一般の人々は信じこまされた。

             ~ 引用 同上 ~
  
  
   当時の人々は「信じこまされて」いたし、まさか共和軍を支援した共産党がナチスと
  結託しているとは「20世紀の住人」は夢にも思わない。
    
   21世紀の我々はもう知ってしまった。
   スペイン内戦の大きな目的の一つは当時世界第3位の保有量だったスペイン銀行の
  金(きん)を奪うことだったことを。

    スペインからソ連に搬出された際の金(きん)消失は、おそらく世界最高権
    力者の手下の仕業であり、スペイン内戦という「かりそめの戦争」に隠された
    「リアルな戦争」とは、スペイン銀行からの金の略奪だったと思います。

          (中略)

    アカデミズムでは無視されても、ゴダールはこの「リアルな戦争」について
    ある程度、知っていたと思います。

          (中略)

    最初の3分の1に関しては、私なりの考えがある。最後の3分の1については、
    共産主義の記録文書を深く掘り返す必要があるだろう。
    (不意に画面に入ってオルガに近づいて)ヴィリー・ミュンツェンベルクだよ。


          (中略)

    例によって「両建て ≒ 二重人格」的な彼らの思考からすれば、共産党を
    介して共和軍に肩入れするフリしてスペインの金(きん)を略奪したんだ
    と思います。

    その下手人こそミュンツェンベルクだとゴダールは言いたいのでしょう。

        ~ 過去記事 「ゴダール 『 ソシアリスム 』」



   これらを覆い隠すのがフランコ率いる反乱軍のファシズムに対する民間義勇兵の人道
  主義。
   銃弾に倒れる民兵を22歳の無名な若者が撮影したという「スター誕生」は「真実の隠蔽」
  に寄せられた献花だ。

   例によって穿(うが)ち過ぎだと言われそうだが、「伝説」は得てして「真実に隠蔽」に利用
  される。アラビアのロレンスをヒーローに祀り上げることによって情報部員としての彼の足跡
  は砂漠に吹く一陣の風と共にかき消される。

   そう言えばこの番組の前番組の「八重の桜」では吉田松陰が取り上げられ、本編後に松
  下村塾が紹介されていた。
   松下村塾こそ幕末維新の志士が産声を上げた「聖地」として語られている。
   まあ~、間違いとまでは言わないが、長州の中忍である吉田松陰のこの塾に集まったの
  は、下忍(伊藤俊輔=博文ら)たちだったことは150年以上経っても隠されている。
   いや、「ヒーロー伝説」に塗り替えられ、今後も伝えられるだろう。
   
   これからの時代、政治家たらんとするならこれくらい見破れないとイカンと思うのです。

                                      (了)







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