素晴らしき放浪者の戯言

100年に1度の世界の大転換、50年に1度の日本の政権交代を見届けるブログです。 政治、経済、メディア、都市、映画etcの各分野を放浪しつつ 時たま核心に迫ります。

中国の「三戦」 後編




   
   前回、「三戦」と呼ばれる中国の対日工作は、昭和47(1972)年、すなわち田中角栄の
  日中国交正常化時代に既に政治工作として行われていたと述べた。
   やや現状とずれている、又は真逆だったりする部分も含まれるが、中国共産党「日本開放
  工作要綱」(以下、「要綱」と省略)に基づき具体的に検討してみよう。

    二 解放工作の任務

     日本の平和解放は、三段階を経て達成する。

     イ 我が国との国交正常化(第一期工作の目標)

     ロ 民主連合政府の形成 (第二期工作の目標)

     ハ 日本人民共和国の樹立 ― 天皇を戦犯の首領として処刑(第三期工作の目標)
 
    田中内閣の成立以降の日本解放第二期工作組の任務は、右の第ロ項、すなわち「民主
    連合政府の形成」の準備を完成することにある。

     ~ 出典 菅沼光弘 中丸 薫 共著 「この国を支配/管理するものたち」 ~
   


   ハについては現状と全く違うといって差し支えないと思う。
   「易姓革命」とは聞こえがいいが、漢、蒙、満と各民族がそれぞれの王朝を樹立させ
  「文化大革命」によって伝統を破壊してしまった現在の中国は、歴史の連続性、正統性
  が日本の「天皇制」に比べるとはるかに脆弱だ。
   中共首脳部は口にこそしないが、日本の「天皇制」のようなものがあったらいいと考え
  ているらしい。今さら中国に「天皇制」もどきをつくれないことから日本の「天皇制」を
  狙っている。中国人が天皇になれるわけがないが、“ 藤原氏 ”にはなれると考えている
  ようだ。
   正統とか伝統とかの論争ばかりでなく、この視点から女系天皇制を考えないといけない。
   今や日本の「天皇制」を狙っている彼らにすれば、天皇を処刑するなどあり得ない。
    
   この「要綱」は、

    第一 群衆掌握の心理戦
    第二 マスコミ工作
    第三 政党工作
    第四 極右極左団体工作
    第五 在日華僑工作    

  によって構成されている。
   「第一 群衆掌握の心理戦」の要諦は中国に好感、親近感を抱かせ中国、中共への警戒
  心を捨てさせることだとしている。
   これまた今や真逆だ。
   「反日教育」によって「反日」が止まらない現在の中国に好感、親近感を抱く日本人
  がどれほどいるだろうか?
   ビジネス、商売になるから彼らとつき合っているだけだ。
   「展覧会、演劇、スポーツ」その他の文化的工作にしても日本のソフトパワーの方が
  中国をはるかに凌駕している。むしろ、中国人こそ日本に親近感、好感を抱く人が増え
  始めていると言えないか。
   ここまでは、この「要綱」がもはや過去のものとなっているという結論になる。
   でも、「第二 マスコミ工作」について書かれたこの一節は興味深い。

  
    第二 マスコミ工作

    大衆の中から自然発生的に湧きあがってきた声を世論と呼んだのは、遠い昔
    のことである。次の時代には新聞、雑誌が世論を作った。
    今日では、新聞、雑誌を含めいわゆる「マスコミ」は、世論造成の不可欠の
    道具にすぎない。マスコミを支配する集団の意志が世論を作り上げるのである。
    偉大なる毛主席は「およそ政権を転覆しようとするものは、必ずまず世論を
    作り上げ、まずイデオロギー面の活動を行う」と教えている。田中内閣成立
    までの日本解放(第一期)工作組は、事実でこの教えの正しさを証明した。
    日本の保守反動政府を幾重にも包囲して、我が国と国交正常化への道へと
    追い込んだのは日本のマスコミではない。日本のマスコミを支配下に置いた
    我が党の鉄の意志とたゆまざる不断の工作とが、これを生んだのである。
    日本の保守反動の元凶たちに、彼等自身を埋葬する墓穴を、彼ら自らの手で
    掘らせたのは、第一期工作組員である。田中内閣成立以降の工作組の組員
    もまた、この輝かしい成果を継承して、さらにこれを拡大して、日本解放の
    勝利を勝ち取らなければならない。  
      
                    ~ 引用 同上 以下 同様 ~



   田中派 ⇒ 経世会 ⇒ 平成研究会の流れを汲む政治家は対米隷属ではなく、ぎりぎり
  で踏ん張っている愛国者が多いと評されることがある。
   でも、この一節が正しいとするなら、確かに対米隷属派ではないかもしれないが、中国
  の操り人形とも考えられる。
   この視点で考えるなら、小沢一郎氏が大訪中団を引き連れ中国を訪問したことをよしと
  しない勢力が正当だという見方もできる。
 
   それでは「政党工作」にふれたこの一節はどう考えたらいいのか。

    国会議員を個別に掌握して、秘密裏に本工作員の支配下に置く。

        (中略)

    D 右により各党ごとの議員を「掌握すべき者」と「打倒排除すべき者」に区別
      し、「掌握すべき者」については「連合政府樹立にのみ利用しうる者」
      「連合政府の樹立より共和国成立に至る過程においても利用し得る者」
      とに区別する。
      ここに言う「打倒・排除」とは、その議員の党内における勢力をそぎ、
      発言権を低下せしめ、孤立に向かわせることを言う。

 
    E 「掌握」又は「打倒」は調査によって明らかとなったその議員の弱点を利用する。

      金銭、権力、名誉欲等、欲するものを与え、又は約束し、必要があらば
      中傷、難問、脅迫、秘している私事の暴露等、いかなる手段を使用して
      もよい。
      敵国の無穴占領が、この一事にかかっていることを思い、いかなる困難
      醜悪なる手段も厭うてはならず、神聖なる任務の遂行として、やり抜か
      なければならない。


   仮に中共が日本の国会議員を支配して議員たちの弱みをつかんでいるとしても、現在
  メディアを賑わせている政治家のスキャンダルは彼ら中共が出処ではないとみるのが 
  妥当だろう。日本の政治家を生かすも殺すも「赤坂」(米国大使館 ⇒ CIA)が握って
  いると考えた方が腑に落ちる。
   何だ中共の工作なんか大したことないじゃないかと考えがちだが、この記述はその
  思いを吹き飛ばす。

    四 対自民党工作

    A 基本方針

     自民党を解体し、多数の小党に分裂せしめる。
     
        (中略)

     従って、多数の小党に分裂する如く工作を進めねばならず、また表面的には
     思想、政策の不一致を口実としつつも、実質的には権力欲、利害による分裂
     であることが望ましく、少なくても大衆の目にはそう見られるよう工作すべ
     きである。


    B 手段
  
     ① 自民党総裁選時における派閥闘争は常に見られる現象で、通常は総選挙
       を経て若干緩和され、一つの党として受けて曲がりなりにも保持していく。
       今回はそれを許してはならない。田中派と福田派の対立の継続と激化、
       田中派と大平派、三木派、三派の難問、中間五派の不満感の扇動等を主点
       として、第一期工作組は工作を展開中である。総選挙後、若干の変動が
       あっても、派閥の対立を激化せしむるという工作の原則は変わらない。

     ② 派閥対立を激化せしめる最も有効な方法は、党内の非主流派となって政治
       活動資金の調達に困難を生じている各派に個別に十分な政治資金を与える
       ことである。政治献金は合法であり、これを拒む政治家はいない。
       問題は方法のみであり、工作員AからBへ、BからCへ、CからDに、
       Dから議員又は団体という如く間接的に行うのは言うまでもない。

     ③ 先に述べた議員個人の掌握は、それ自体が連合政府樹立の有効な手段とな
       るが、派閥対立激化についても活用するのはもとよりである。



   70年代、「三・角・大・福・中」の自民党内派閥闘争はドメスティツクな抗争だと思っ
  ていたが、この記述が正しいとするならそうとも言い切れない。
   当時は貧乏国だった中国から自民党各派閥にチャイナマネーが流れていた!?
   一方、米国だって自民党各派閥に同様のことをしていたはずだ。
   自民党には「親米派」、「親中派」、「独立派」が存在するといわれるが、単純に主義
  主張でそうなったわけではないということになろう。

   「自民党を解体し、多数の小党に分裂せしめる。」

   これは現在も進行中のことです。
   CIAの2025年における日本政界展望がまさしく、

    「自民党は分裂し少数党が乱立し日本の政治が機能不全に陥る。」 

   でありますが、これは展望(予測)ではなく彼らのアジェンダ。 


   貧乏国から「改革開放」を経て世界第2の経済大国になった中国。
   これまで見たように72年のこの「要綱」は既に過去のものとなった部分が少なく
  ない。中国経済の大躍進とそれに伴う国内の矛盾によって対日工作も大きく書き換え
  られたのだろう。
   ただ、かの国が現在も10~20年、いやそれ以上のスパンで対日工作を遂行中で
  あることは間違いない。中国と共に米国も同様だ。
   果たして日本は彼らに匹敵するスケールで対中、対米工作を策定しているのだろうか? 
   
   依然として経済大国だが、そう思わざるを得ないほど日本には「国家戦略」というも
  のがないと思うのです。
               
                  (了)







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