素晴らしき放浪者の戯言

100年に1度の世界の大転換、50年に1度の日本の政権交代を見届けるブログです。 政治、経済、メディア、都市、映画etcの各分野を放浪しつつ 時たま核心に迫ります。

敢えて 「 農業 」 からTPPを検証する。




   
   TPPは「貿易」に限ることではなく、まして日本の「農業」を守れるか否かだけが論点では
  ないことは再三述べてきた。
   そうはいうものの、 “ 闇鍋 ”たるTPPの底に何が潜んでいるのかまだ判然としない。
   (ISD条項等の他にも信じられないようなゲテモノが隠れているかもしれない。)
   漠然としたものを前提としていてもしょうがない。よかろう、それでは敢えて「農業」に限って
  TPPを検証してみることにする。
   安倍首相はTPPに対抗する政策として「攻めの農業」を唱えている。
   彼のいう「攻めの農業」とは浅川芳広裕氏の「日本農業成長八策」あたりに集約される
  のではないか?

    〔日本農業成長八策〕

      ① 民間版・市民(レンタル)農園の整備
        (貸し農園だけでも2000億円の新市場)

      ② 農家による作物別全国組合の設立
        (1次、2次、3次の6次産業へ。農産物価格5%向上で4000億円の効果)

      ③ 科学技術に立脚した農業ビジネス振興

      ④ 輸出の促進
        (過去40年で英国20倍、ドイツ70倍の輸出を増やす。日本は9.5倍)

      ⑤ 検疫体制の強化
        (輸出相手国の検疫水準をさげる)

      ⑥ 農業の国際交渉ができる人材の育成または採用

      ⑦ 若手農家の海外研修制度の拡充

      ⑧ 海外農場の進出支援


   これらを挙げ浅川氏はこう結論づけている。

    以上、「日本農業成長八策」を合計すると、約9兆円の新規需要の創造だ。
    既存の約8兆円と足して、日本の農業産出額はおよそ18兆円となり、
    先進国ナンバーワンの農業大国・米国の17兆円を追い抜く。
    かかる税金は輸出補助金、海外への農場進出、若手農業の海外派遣に各
    1000億円の3000億円のみ。所得補償1兆円の3分の1以下である。

         ~ 浅川芳裕 著 「日本は世界第5位の農業大国」~

    (8兆円+9兆円で17兆円だが、端数を合計すると18兆円ということなのだろう)

   ここで注目したいのは「日本が先進国ナンバーワンの農業大国米国を追い抜く」というこ
  とだ。「すごいぞ!日本」、「日本の底力 バンザイ」とか負自3Kが好きそうなフレーズ
  を叫ぶつもりはない。実際、そうなったらまことに結構なことだが、そもそも「日本が米国
  を追い抜く」と言っていることがグローバリズムについて根本的に無知だと言わざるを得な
  い。グローバリズムは国を前提とするのではなく、優勝劣敗は国家間ではなくグローバル企
  業間で起こるものだ。日本発祥のグローバル企業がグローバル競争に勝ち抜いたとして
  も、その時、本部(本社)が日本になければならない必要はないしその保障もない。
   「日本農業成長八策」のうち、⑦、⑧の政策は間違いなく農業会社、農業法人のグローバ
  ル化を推進する。当分は日本農業の成長ということになるだろうが、本格的にグローバル化
  したら日本云々ということ事態ナンセンスとなる。グローバル化したのはいいが、会社その
  ものが中国企業に買収されているかもしれない。
   浅川氏の主張は農業を産業としてだけ捉えており、治水、国土保全等は全く無視
  している。
  
 
   農業会社が本格的にグローバル化するのはいわゆる「グローバリズム」から「超帝国」の
  時代にさしかかった頃だろうから、さしあたっては浅川氏の主張がとりあず当面の処方箋と
  しよう。「とりあえずではなく当然だろう!何言っているんだ!」と橋下 徹あたりが口を
  尖らせている様が目に浮かぶ。
   今日の自称、保守の大多数を占める素朴な資本主義信仰者が「攻めの農業」を説いたと
  ころで彼らの横つらに冷や水ぶっかけるのが「食品安全近代化法」とISD条項だ。


   



    〔食品安全近代化法〕・・・4分50秒過ぎ

      一番大きな問題は農家が在来種の種子を採取し、保存し種まきしてはいけない
      という条項がある。
      
      これにより遺伝子組み換えのF1種の種子を毎年、種種業者から買わなければ
      ならない。


    〔日本では遺伝子組み換えトウモロコシ承認〕・・・7分20秒前後
 
      農薬に耐性のある雑草を退治する除草剤でも平気な遺伝子組み換えトウモロ
      コシは米国では承認されなかった。
      日本では昨年12月5日、承認され食用、飼料用に認可された。

   
    〔ISD条項とのリンク〕

      「遺伝子組み換え大豆不使用」の表示をしてはいけない。

 
    〔NAFTAでの訴訟例〕・・・11分30秒過ぎ

      ○ カナダ  28件全敗(賠償金支払い)

      ○ メキシコ 19件全敗(賠償金支払い)

      ○ アメリカ 19件全勝(賠償金支払いなし)

 
          
   前回も述べたようにTPPは自由主義、市場原理主義、規制撤廃・規制強化等、これらの
  どれでも割り切れない。ISD条項は「規制強化」ではなく「規制強制(押しつけ)」です。
   同様に「規制強制」である「食品安全近代法」とリンクすれば、「規制強制」いや「非対
  称性」はさらに強固なものとなる。
   素朴な資本主義信仰者が「攻めの農業」を唱えてもTPPのISD条項で吹き飛ば
  されてしまうのです。

   むしろ、グローバル企業(この場合、穀物メジャー)にとっては「攻めの農業」で日本
  農業を法人化してくれてありがとうだろう。買収するなり商法、商慣習変えるにしても
  個人農家ではやりにくい、法人の方が何かと都合がいい。
   仮に食品安全化近代法がグローバルスタンダードになれば、TPP参加国はみな等しく
  モンサントのF1種を毎年モンサントから買い似たような農産物を作ることになる。
   そうなったら農産物は効率と価格だけの「競争」となる。
   職人技のような日本の農家のきめ細かいノウハウなど木端微塵に粉砕される。

   安倍首相や橋下日本維新の会共同代表が「攻めの農業」でTPPを突破しようと
  考えても妄想に過ぎない。 
   なぜ、妄想が生じるかというと、グローバル資本主義は公正な市場における国際競争だ
  と考えているからだ。 
   まだ正体現していないが、グローバリズムの本質はビルダーバーグ会議に連なる
  グローバル企業を勝たせ、市場を支配させるための政治的・経済的スタンスに
  他ならない。



  〔関連記事〕

    ノルウェーはそんなに呑気な国じゃない!


パンドラⅡ
 2010年4月放送のこのドラマはやはりプロパガンダだった。
 遺伝子組み変えトウモロコシを巡るこのドラマのようにTPPでなくても
 食糧危機に乗じて遺伝子組み換え食品を普及させる手もある。  




 


  
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